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NANDフラッシュの市況は厳しいが「投資の手は絶対に緩めない」キオクシア社長 早坂伸夫氏(1/2 ページ)

2022年10月26日、キオクシアの四日市工場(三重県四日市市)に完成した第7製造棟(Y7棟)の竣工式が開催された。同日には、竣工式とともに記者説明会も開催され、キオクシア 代表取締役社長の早坂伸夫氏と、同社 常務執行役員 四日市工場長 松下智治氏が、報道機関からの質問に答えた。

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 2022年10月26日、キオクシアの四日市工場(三重県四日市市)に完成した第7製造棟(Y7棟)の竣工式が開催された。Y7棟では、3次元NAND型フラッシュメモリ「BiCS FLASH」の第6世代(162層)品および次世代品を製造する予定で、第6世代BiCS FLASHの出荷は2023年初頭になる見込みだ。


「Y7棟」の外観[クリックで拡大] 出所:キオクシア

 同日には、竣工式とともに記者説明会も開催され、キオクシア 代表取締役社長の早坂伸夫氏と、同社 常務執行役員 四日市工場長 松下智治氏が、報道機関からの質問に答えた。

NANDフラッシュの市況は「かなり厳しい」

――NANDフラッシュの市況についての見解を聞かせてほしい。


キオクシア 代表取締役社長の早坂伸夫氏

早坂伸夫氏 市況はかなり厳しく、現在の状況がいつまで続くのか先を見通すことは難しい。ただ、メモリは必要不可欠な半導体なので、この先もずっと厳しい市況が続くとは想定していない。必ず盛り返す。

――2022年10月から、ウエハー投入量の約3割を削減する生産調整を行うと発表したが、その背景を教えてほしい。

早坂氏 需要がかなり厳しいというのが、生産調整を決定した理由だ。具体的には、PCやスマートフォン、データセンターなどで全体的な需要が減速している。この生産調整については当面継続するとみていて、現段階では、生産量の回復時期を見通すことは難しい。

――厳しい市況が、今後のY7棟(第2期)への投資に影響を及ぼす可能性は。

早坂氏 当社は従来、市況を見ながら投資を行ってきた。今回も、状況しだいで調整を行う可能性はあるが、現時点では、立ち上げに関する変更はない。ただし、Y7棟第2期の投資時期は未定である。

「投資の手は緩めない」

――新工場の建設には国からの支援もある。政府の半導体支援や政策についての見解は。

早坂氏 もともと政府には、当社側から支援を要請してきた。半導体産業は、とにかく競争力がなければ、すたれていく一方だ。競争力を維持するためにも国の支援が必要だと訴えてきたという背景がある。

 そうした中、自民党内で「半導体戦略推進議員連盟」が設立されるなど、大きく流れが変わってきた。政府は現在、さまざまな半導体支援策を打ち出している。今回、支援をいただいたことで、われわれとしても競争力を強化し、世界的にも強い日本の半導体メーカーとして尽力していく。

 半導体産業は、将来にわたる研究開発を続けることが極めて重要だ。中長期的な新製品の開発に向けた投資の手を緩めることは絶対にない。

――米国が2022年10月に、中国を対象に新たな半導体輸出規制を発表した。中国のNANDフラッシュメーカーYMTCも規制対象になり得るとのことで、この辺りの見解を聞かせてほしい。

早坂氏 輸出規制の中身については、われわれもまだ理解していないということもあり、現在精査中だ。YMTCは、当社の競合であることは間違いないが、今回の新たな規制がどのように影響するのかは、もう少し様子を見なければ分からないというのが現状だ。

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