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チップレットvs. 1シリコン化、AMDとIntelの戦略を読み解くこの10年で起こったこと、次の10年で起こること(68)(2/3 ページ)

残りわずかとなった2022年。後半になって大型プロセッサが続々と発売されている。今回は、AMDの「Ryzen 7000」とIntelの「第13世代 Intel Core」シリーズの解析結果から、両社のチップ戦略の違いを読み解く。

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Ryzenの新旧世代を比較する

 図3は、前世代「Ryzen 9 5950X」と新チップであるRyzen 9 7950Xの面積とチップ配線ありの外観比較である。面積は平方ミリメートル単位での数値ではなく、Ryzen 9 5950Xを1とした数値を掲載した。


図3:前世代「Ryzen 9 5950X」と新チップであるRyzen 9 7950Xの面積とチップ配線ありの外観比較[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 新旧IOの外観、アスペクト、新旧CPUの外観、アスペクトはほぼ同じものになっている。GlobalFoundriesの12nmで製造された前世代のIOシリコンに対して、新世代のIOシリコンはTSMCの6nmを活用するにもかかわらず、わずかに3%面積が縮小されたものになっている。

 PCI Expressが4.0から5.0、DDRメモリのインタフェースもDDR4からDDR5に変更されていて、大幅な性能/機能アップを行っているので、12nmから6nmと、より微細化した製造プロセスを用いていても面積はほとんど変わっていないわけである。

 また、Ryzen 9 5950Xには搭載されていなかったGPU「RDNA 2」も、Ryzen 9 7950XのIOシリコンには搭載されている。CPUシリコンのアーキテクチャが「Zen3」からZen4に変わっているので、CPU部の比率は前世代に比べて若干大きめになっている。

 CPUシリコンは左右にCPUコアが4個ずつ、計8個並び、8コアCPUに囲まれる形でL2(計16MB、前世代では8MB)、L3 64MB(L3のサイズは前世代と同じ)が配置されている。前世代のRyzen 9 5950Xの面積を1とすると、Ryzen 9 7950Xでは0.83と、性能やメモリ容量の拡大にもかかわらず、大幅な面積削減を実現しているわけだ。図3の7nm Area 1.00、5nm Area 0.83と書かれた部分がL2、L3キャッシュ、文字の左右がCPU8個になるので、CPU部とメモリ部の比率が大きく変わったことが良く分かる。製造プロセスの微細化によってメモリは縮小し、CPUアーキテクチャの更新によってロジック部は増加したものになっている。

Intelの第13世代Coreシリーズを比較する

 図4は、2022年10月に発売されたIntelの第13世代Coreシリーズのうち、ハイエンドの「Core i9 13900K」と、同時に発売されたミドル仕様の「Core i5 13600K」である。AMDのRyzen 7000シリーズとほぼ同じハイエンドとミドルのラインアップを同時発売でそろえている。ハイエンドもミドルも、LIDを外すと同じサイズのシリコンであることが確認できる。AMDがシリコンを組み合わせることでラインアップを作っているのに対して、Intelは1つのシリコンで(機能を止める、あるいは製造不良部を使わないなど)使い分けをし、1シリコンでCPU、IO、GPUを実装しているという大きな違いがある。


図4:Intelの「Core i9 13900K」と「Core i5 13600K」を比較する[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

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