業績好調のMediaTek、次はメタバースと自動車へ:前年比61%の売り上げ成長
MediaTekは2022年11月25日、最新技術動向と今後の戦略に関する記者説明会を実施した。会見ではメディアテックジャパン社長の栫啓介氏とメディアテック本社から3人のエグゼクティブが登壇した。
MediaTekは2022年11月25日、最新技術動向と今後の戦略に関する記者説明会を実施した。会見ではメディアテックジャパン社長の栫啓介氏とMediaTek本社から3人のエグゼクティブが登壇した。
左からMediaTekのスマートフォンビジネス部門の副ジェネラルマネージャーのYenchi Lee氏、コーポレートバイスプレジデント兼メタバース事業のジェネラルマネージャーのMike Chang氏、コーポレートシニアバイスプレジデントのJerry Yu氏、メディアテックジャパン社長の栫啓介氏[クリックで拡大]
業績について、メディアテックジャパン社長の栫啓介氏は「2021年のグループ全体の売り上は前年比で61%増の176億米ドルで過去最高を記録した」と述べた。内訳についてMediaTekのコーポレートシニアバイスプレジデントを務めるJerry Yu氏は「4G(第4世代移動通信)では競合他社に後れを取ったが、5G(第5世代移動通信)に関しては順調で2019年から2022年までの4年間で約4倍の売り上げとなった。エッジデバイス事業は同4年で約1.5倍に、パワーIC事業では約2倍に成長した」と説明した。
今後のMediaTekの方針について、コーポレートバイスプレジデント兼メタバース事業のジェネラルマネージャーを務めるMike Chang氏は「今後は自動車分野とメタバース分野に進出していく」とし、「MediaTekは世界トップクラスの技術を複数持っている。メタバース分野は、MediaTekのマルチメディア、ワイヤレス、コンピューティングなどの技術を使って低消費電力、小型化を実現できると考えている。自動車分野は今後『車輪付きの携帯電話』になると考えている。MediaTekは必要な要素技術の多くを持っておりEV(電気自動車)分野に親和性がある」と続けた。
最新のフラグシップ向けの5G SoC(System on Chip)「Dimensity 9200」も紹介した。スマートフォンビジネス部門の副ジェネラルマネージャーを務めるYenchi Lee氏は「Dimensity 9200はCPUコアに『Arm Cortex-X3』を使用し、前世代品の『Dimensity 9000』と比較してシングルコアのパフォーマンスが12%向上した。GPUコアにはArmの『Immortalis-G715』を使用し、同じくDimensity 9000と比較してパフォーマンスが32%、電力効率は41%向上した」と説明した。Dimensity 9200はゲームメーカーと2年間共同で開発、最適化を進めていて、使用者に低遅延、高画質で没入感のあるゲーム環境を提供する。Dimensity 9200の採用例の一つに、2022年11月に発表されたvivoのゲーミングスマートフォン「vivo X90 Pro」がある。
日本の方針について栫氏は「ファブレスICデザイン分野では世界4位、半導体全体では世界10位の半導体会社だが日本での知名度はとても低い。日本はスマホやTV、自動車分野では強みを持っている。顧客からの要求水準もとても高いため、日本のメーカーに採用されることはブランディングのために重要だ。今後は顧客の要求に合わせてプロダクトの開発/改善を行うとともに、一層露出の機会を増やしていく」と述べた。
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