AMDが開発した第4世代「EPYC」プロセッサのメモリ構成:福田昭のデバイス通信(375)(1/2 ページ)
今回は、第4世代EPYCプロセッサのメモリ構成を簡単にご報告する。具体的には、メインメモリ(主記憶)を解説する。
主記憶(メインメモリ)はデータ転送速度が1.5倍、記憶容量が2倍に向上
AMDは2022年11月10日(米国時間)に米国カリフォルニア州サンフランシスコでサーバ向けプロセッサ「EPYC(エピック)」の新製品発表会「together we advance_data centers」を開催した。新しい「EPYC」は、x86互換のCPUコア「Zen(ゼン)」シリーズの第4世代となる最新のCPUコア「Zen4」を搭載する。名称は「第4世代(4th Gen)EPYC」である。
そこで本コラムの第371回から、第4世代EPYCプロセッサとZen4コアの内容をご説明してきた。前回は、「Zen4」コアを内蔵するダイ(CCD:Core Complex Die)のメモリ構成を解説した。具体的にはキャッシュメモリ(1次キャッシュから3次キャッシュ)を説明した。今回は、第4世代EPYCプロセッサのメモリ構成を簡単にご報告する。具体的には、メインメモリ(主記憶)を解説する。
サーバ用プロセッサ「EPYC」の世代別概要。左端が第1世代。製品名(EPYC 7001)の下は開発コード名。その右が第2世代、さらにその右が第3世代と進む。右端が11月に発表された第4世代のEPYC[クリックで拡大] 出所:AMD
第4世代EPYCが主記憶(メインメモリ)用にサポートする外付けの半導体メモリは、前世代である第3世代のEPYCと比べるとデータ転送速度が高く、記憶容量が大きい。第3世代EPYCはDDR4タイプのDRAMをサポートしていた。第4世代EPYCは、DRAMとしては次の世代であるDDR5タイプのDRAMをサポートした。この結果、DRAMの最大データ転送速度は1.5倍に高まり、プロセッサ(ソケット)当たりの最大記憶容量は2倍に拡大した。DRAM入出力ピン当たりのデータ転送速度は4800Mbps、プロセッサ当たりの記憶容量は6Tバイトに達する。
DRAM容量は64Gビット、DIMM容量は256Gバイトまでサポート
本コラムの第372回でも述べたように、EPYCプロセッサはチップレット構成を採用している。主記憶のDRAMとデータをやりとりするのは入出力ダイ(IODあるいはIO Die)である。入出力ダイは12チャンネルのDDR5メモリコントローラーを搭載しており、各チャンネルには最大で2枚のDRAMモジュール(DRAM DIMM)を接続できる。
サポートするDIMMの種類はRDIMM(Registered DIMM)と3DS(Three Dimensional Stack) RDIMMだけだ。DRAMの最大記憶容量は64Gビット、DIMMの最大記憶容量は256Gバイトである。各チャンネルに256GバイトのDIMMを2枚接続すると、ソケット当たりの記憶容量は6Tバイトとなる。
なおAMDは入出力ダイのメモリコントローラーを「UMC(Universal Memory Controller)」と呼称している。入出力ダイの説明図面ではメモリコントローラーの表記が「DDR5」の図面と「UMC」の図面が混在する。両者は同じなので留意されたい。
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