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電池パック組み立てを効率化するセカンドプロテクトICヒューズ溶断を気にせず電池を接続可能

エイブリックは2022年12月6日、RTC(リアルタイムクロック)駆動用の定電圧出力端子を備えたセカンドプロテクトIC「S-82K3/K4シリーズ」を発表した。3セル/4セル直列用で、S-82K3が3セル用、S-82K4が4セル用となる。パッケージはDFN-8(2020)Aである。主に電池パックメーカーに向けた製品で、電池パックの組み立て時に、ヒューズ溶断を気にせず自由に接続できることが特長だ。

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「S-82K3/K4シリーズ」の外観 出所:エイブリック

 エイブリックは2022年12月6日、RTC(リアルタイムクロック)駆動用の定電圧出力端子を備えたセカンドプロテクトIC「S-82K3/K4シリーズ」を発表した。3セル/4セル直列用で、S-82K3が3セル用、S-82K4が4セル用となる。パッケージはDFN-8(2020)Aである。主に電池パックメーカーに向けた製品で、電池パックの組み立て時に、ヒューズ溶断を気にせず自由に接続できることが特長だ。

 セカンドプロテクトICは、ノートPCやタブレットなどに搭載されているリチウムイオン電池の過充電に対し、2重保護を構成するもの。一般的に、外部信号によってヒューズを溶断させるプロテクションヒューズ(SCP:セルフコントロールプロテクター)と組み合わせて使用される。過充電が発生すると、セカンドプロテクトICから信号が送られ、それによってプロテクションヒューズを溶断する。「電池パック自体を使えなくするという発想だ」とエイブリックは説明する。

 ただし、従来のセカンドプロテクトICでは、電池パックの組み立て工程でプロテクションヒューズが溶断しないよう、保護回路基板に電池を接続する順番が規定されていたり、電池を接続した後にプロテクションヒューズを実装したりと、電池パックの組み立てに制約があった。

「ウェイクアップ機能」で、ヒューズ溶断を気にせず電池を接続できる

 今回エイブリックが発表したS-82K3/K4シリーズは、全ての電池が接続されたかどうかを監視する「ウェイクアップ機能」を搭載。電池を接続する順番にかかわらず、全ての電池が接続されるまでプロテクションヒューズの溶断信号は出力されない仕組みになっている。そのため、ヒューズ溶断を気にせず、自由に接続できるようになる。エイブリックは「電池接続順フリーを実現した」と述べる。「これにより、従来は手作業で行っていた電池の接続を自動化できるようになるので、製造工程の簡略化につながる」(エイブリック)。同社によれば、この“電池接続順フリー”は、10年以上前から要求されていたという。

 さらに、S-82K3/K4シリーズは、標準的なセカンドプロテクトICと同様の2.0mm角のサイズで、ウェイクアップ機能を搭載したという点も特長になる。「電池の接続を監視する機能(回路)を組み込もうとすると、どうしてもチップサイズが大きくなり、コストも高くなってしまうのがこれまでの課題だった」と同社は説明する。エイブリックによれば、製造プロセスおよびIC内部の設計の進歩により、ウェイクアップ機能を内蔵しても、2.0×2.0mmのパッケージサイズを維持できるようになったという。「耐圧が高いと素子は大きくなる。そのため当社は、耐圧が高い素子をできるだけ使わず、低耐圧の素子だけで回路を構成するノウハウを蓄積してきた。今回発表したセカンドプロテクトICに限らず、ここ最近開発している当社の新製品にはこうしたノウハウが活用されている」(エイブリック)


S-82K3/K4シリーズを使用する際の保護回路の例 出所:エイブリック

 S-82K3/K4シリーズの過充電検出電圧精度は±15mV。一方で、消費電流は最大4μAと低く抑えられている。

 RTC駆動用の定電圧出力端子を備えたセカンドプロテクトICは既に市場で販売されていて、エイブリックは後発メーカーになる。既存品と差別化するために、ウェイクアップ機能を搭載したが、「電池接続順フリーという機能に注目される顧客が多く、引き合いが多い」と同社は述べる。

 サンプル価格(本体価格)は300円。量産はまだ開始していないが、量産準備は完了している。

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