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インタビュー

WBGパワーデバイス事業を加速するInfineonわずか4年でSiCの採用分野は激変(2/3 ページ)

Infineon Technologies(以下、Infineon)にとって、パワーデバイスは長年、注力事業の一つである。特に近年は、カーボンニュートラルをはじめ、グリーン化社会の実現に向けて省エネが強く求められる中、SiC/GaNなどのWBG(ワイドバンドギャップ)パワーデバイス事業を強化している。

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SiCの採用分野が多様化

 特にSiCは、非常に興味深い展開だとFriedrichs氏は語る。アプリケーションが多様化しているのだ。例えば2017年におけるInfineonのSiCのデザインウィンは、全体の87%を太陽光発電のインバーターが占めていた。それがわずか4年後の2021年は、インバーターに加え、EVチャージャーや輸送、エネルギー貯蔵システム、UPS(無停電電源装置)、エネルギー分散システムなど、多岐にわたるアプリケーションでデザインウィンを獲得するようになった。

 Friedrichs氏は「このようにアプリケーションが増えているということは、安定的にSiCが市場が浸透していく素地ができているということになる。これは、当社の将来にとって健全な状況だ」と語る。「InfineonのSiCの顧客数も増加しており、現在は3000社を超えている。従来の大手メーカーだけでなく、EVチャージャーのスタートアップ企業など新しい顔ぶれがあるのも、SiCのユースケースの広がりを示している」(同氏)

SiCのデザインウィン
InfineonがSiCパワーデバイスのデザインウィンを獲得したアプリケーション[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies

2020年代半ばまでにシェア30%を狙う

 こうした背景を受け、InfineonのSiC事業は堅調に成長している。「当社のSiC事業は、SiCパワーデバイスの世界市場の成長率を上回る速さで伸びる見込みだ。2020年代半ばには、売上高10億米ドル、シェア30%を見込んでいる。分野別の売上高比率は、車載向けと産業機器向けが50%ずつと同等の割合になるだろう。ただし、車載分野の成長の方が速い」(Friedrichs氏)

InfineonのSiC事業の成長予測
InfineonのSiC事業の成長予測[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies

 Friedrichs氏は、Infineonのパワーデバイス事業の成長を支える要因として、長年にわたる開発/製造経験や、IGBTからSiCまで多様な製品ポートフォリオをそろえていることが挙げられるとする。特にSiCは2001年から製品を市場に投入していて、長い実績がある他、パッケージと定格電圧(耐圧)でも幅広いポートフォリオをそろえていると同氏は述べる。「われわれは、パワーデバイスだけでなく、『Aurix』マイコンなどのコントローラーやゲートドライバーICなど、周辺のデバイスも提供できる。特に、スタートアップの顧客に対しては、これが大きな強みになっている」(同氏)

InfineonのSiCパワーデバイスの製品群
InfineonのSiCパワーデバイスの製品群。耐圧2kVのSiCダイオードおよびSiC MOSFETも2022年に投入した[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies

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