ソニー、TSMC、東エレクが語る半導体サプライチェーン/人材戦略:日本が“世界一”に返り咲く最後のチャンス(1/3 ページ)
「SEMICON Japan 2022」の最終日である2022年12月16日、ソニーやTSMCジャパン、東京エレクトロンの幹部らがパネルディスカッションに登壇し、半導体産業のサプライチェーンおよび人材戦略について議論した。
エレクトロニクス製造/サプライチェーンの展示会「SEMICON Japan 2022」(会期:2022年12月14〜16日、会場:東京ビッグサイト)の最終日である2022年12月16日、ソニーやTSMCジャパン、東京エレクトロンの幹部らがパネルディスカッションに登壇し、半導体産業のサプライチェーンおよび人材戦略について議論した。
パネルディスカッションに登壇したのは、ソニーセミコンダクタソリューションズCEO(最高経営責任者)の清水照士氏、TSMCジャパン社長の小野寺誠氏、九州工業大学教授でマイクロ化総合技術センター長の中村和之氏、東京エレクトロンSPE事業本部長の三田野好伸氏だ。
4人はまず、ファウンドリーの台頭や製造拠点のアジア集中など、半導体製品のサプライチェーンが大きく変化する中、日本の半導体サプライチェーンは今後どのように対応すべきか、そしてどのような課題が浮かび上がってくるのかについて議論した。
TSMC熊本工場やRapidusに期待の声
清水氏は、「現在、ソニーの生産体制も、スタック構造になっているので、外部から調達をしないと製品の生産が難しい。『ALL Japan』という言葉が使われることがあるが、サプライチェーンは世界中がつながっており、日本国内で完結させることは難しい。これからは世界中でうまく連携していく方法を考えるのが最善だ」と言及。その上で、「半導体が不足し在庫の確保が難しくなっている中で、台湾など海外の在庫を取り合っていては勝負できない。政府の支援もありながら、TSMCの熊本工場が稼働し日本の企業向けに半導体を製造することは非常に意味がある」と語り、TSMCによる熊本工場建設を評価した。
これに対しTSMCジャパンの小野寺氏は、「これまでTSMCは台湾一極集中だったが、今後は日本も含めたグローバル展開をしていく」と説明。TSMCでは、多文化への対応やグローバルのサプライチェーンの見直しのためにグローバルで拠点を増やすとともに、半導体メーカーと連携し、新しいデザインやエコシステムの構築に取り組んでいるという。
また、小野寺氏は、2022年8月に設立されたRapidus(ラピダス)についても、「半導体業界に『人/モノ/金』が入ってくることは非常に望ましい。業界としてリソースが足りていない中で人材の獲得は最大の課題だ。先端技術の開発拠点が日本にできることは業界に新しいイノベーションをもたらすのではないかと期待している」と触れた。
東京エレクトロンの三田野氏は、「大切なのは市場の変化に関わらず、柔軟性と技術力をもって最先端技術を追い続けることだ。日本は半導体製造装置分野に強みがあるが、半導体の原材料はほとんどないので、材料が不足すると半導体が作れず、半導体が作れないと半導体製造装置が作れないという事態も起こりかねない。東京エレクトロンは顧客と10年先までロードマップを描いて半導体製造装置開発に取り組んでいる」と述べた。
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