SiCパワーデバイスの主戦場、車載分野の強みを示すST:electronica 2022(1/2 ページ)
STMicroelectronicsは、ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州最大規模のエレクトロニクス展示会「electronica 2022」(2022年11月15〜18日)において、同社の第3世代SiC MOSFET採用によって30%の小型化を実現したオンボードチャージャーなど、パートナーとの協業によるSiC車載ソリューションを展示した。
STMicroelectronics(以下、ST)は、ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州最大規模のエレクトロニクス展示会「electronica 2022」(2022年11月15〜18日)において、同社の第3世代SiC(炭化ケイ素) MOSFET採用によって30%の小型化を実現したオンボードチャージャー(OBC)など、パートナーとの協業によるSiC車載ソリューションを展示した。
フランスの市場調査会社Yole Developpementによると、2021年のSiCパワーデバイス市場の市場規模は10億9000万米ドルだったが、STはそのうち41%(4億5000万米ドル)のシェアを有し、市場首位に位置しているという。その背景は、Teslaの電気自動車(EV)「Model 3」へのSTのSiCデバイス採用をはじめとした車載分野でのシェア拡大だ。同社は、今回の展示でも、車載分野における同社のSiCデバイス採用事例を展示し、その強みをアピールしていた。
会場で展示していたOBCは、E-Mobility向けの充電および電源システムなどを手掛けるドイツのinnolectricとの協業によるものだ。innolectricは2020年、最大22kWの電力供給に対応したSiC搭載オンボードチャージャーの量産開始を発表している。STの第2世代SiC MOSFETを採用した同製品は、バス電圧400Vまたは800V、変換効率は2k〜22kWの間で94%以上、最大96%以上と高い性能を610×391×120mmの筐体に収めたものだった。
STは今回、現在開発中のOBCを新たに公開。同製品はSTの第3世代SiC MOSFETなどを採用したことで、既存品と比べ、筐体サイズの30%小型化を実現したという。説明担当者は、「OBCへの電力密度/効率の二ーズは高まっている。われわれは独自のSiCおよびパッケージ技術、さらに電源製品だけでなくマイクロコントローラーなどシステム全体のソリューションを提供することで、顧客の要望への対応を実現している」と語っていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.