睡眠改善用ウェアラブル機器が続々登場:「睡眠時無呼吸」の自宅検査も可能
「ウェアラブル EXPO」(2023年1月25日〜27日、東京ビッグサイト)では、脳波やいびきを自宅で計測できる睡眠改善用のウェアラブルデバイスが多数展示された。
「ネプコン ジャパン」(2023年1月25〜27日、東京ビッグサイト)と同時開催した「ウェアラブル EXPO」では、脳波やいびきを在宅計測できる睡眠改善用のウェアラブルデバイスが多数展示された。睡眠の深さや呼吸状態をデータで確認できるほか、睡眠時無呼吸症候群などの兆候も調べられる。
脳波計測で“睡眠の質”を可視化
筑波大学発のスタートアップ企業であるS’UIMINは、在宅向け睡眠計測サービス「InSomnograf」を展示した。同サービスは、額の3カ所と首の2カ所に電極シールを貼り、専用デバイスに接続したまま寝るだけで睡眠時の脳波測定ができ、総睡眠時間や眠りの深さ、覚醒(途中で脳が目覚めること)反応指数などが分かる。睡眠時無呼吸症候群などの兆候も調べられる。測定したデータは、AIが処理した後、利用者の希望に応じて必要なデータを納品する。
通常、睡眠時無呼吸症候群の検査は、医療機関で1日入院し、いくつもの電極を身体に付けて行われる。同社のサービスでは入院が不要で、在宅で簡単に計測できる。仕事が忙しいビジネスパーソンなどでも、有休を取得する必要がないので便利だ。同社は、「睡眠状態は脳波でしか正確に測れないが、脳波は非常に微弱で測定が難しい。本サービスは脳波測定を実現したが、仮に異常が見られる場合も、最終的な診断は医療機関で受ける必要がある」と説明した。費用はプランによってバラツキがあるものの、おおよそ1〜3万円だという。
いびき検知で、寝ながら寝姿勢強制
oneAは、大阪電気通信大学と共同で研究開発を行った睡眠モニタリングデバイス「Sleeim」を展示した。Sleeimは、睡眠時にデバイスを首に付けるだけで呼吸レスやいびき、体の向きを検知し、デバイスから振動刺激を与えることで寝姿勢の変動を促し快適な睡眠へ誘導するデバイスだ。収集したデータはBluetoothでスマートフォンに送られ、専用のアプリから確認できる。今後について同社は、「現在は、デバイスのマイクや加速度センサーのみで睡眠状態を判別しているが、今後は脈拍などのバイタルも収集できれば精度を上げられると考えている」と述べた。価格は2万9800円(税別)で、色は5色から選ぶことができる。
筆者も2019年(当時21歳)に睡眠時無呼吸で検査/手術を受けた経験がある。検査のきっかけは、一緒に寝泊まりした友人に「お前……寝てる時、心配になる呼吸してるぞ」と言われたことだった。検査の結果、1時間当たりの無呼吸低呼吸指数が35.7回、睡眠効率86.0%の「重症」であることが分かり、即手術の予定が決まった。筆者は生まれつき扁桃腺が大きかったため、全摘手術を行い2〜3週間、入院した。
睡眠時無呼吸は、男性や中高年代に多いとされ、日本国内では数百万人の潜在患者がいるといわれている。もし過去に睡眠時のいびきや呼吸を周囲から指摘されたことがある、年齢や生活習慣から睡眠の質に不安がある読者がいれば、医療機関に受診するか、今回のウェアラブルデバイスをはじめとした簡易検査/測定を試してみるのも一案かもしれない。
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