Apple「M2」プロセッサ搭載のMacBook Pro/Mac miniを分解する:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(71)(1/3 ページ)
今回は、Appleのプロセッサ「M2」に焦点を当てる。M2が搭載された「MacBook Pro」「Mac mini」を分解し、M2周りを解析した。
2020年後半にAppleは独自のMac向けプロセッサ「M1」を搭載した「MacBook」を発売した。その後M1はAppleのタブレット「iPad」や「iMac」など多くの製品に展開されている。M1はCPUコア数やGPUコア数、さらにDRAMインタフェースを拡張し、「M1 Pro」「M1 Max」「M1 Ultra」とスケーラブルに進化。ハイエンドからミドルハイの多くの製品に採用されている。
現在、M1ファミリーはMacのほぼ全ての製品に採用されていて、2020年以前のインテルプロセッサを置き換えた形になっている(「Mac Pro」には依然としてインテルプロセッサが搭載されているが、モデル末期のため、次世代ではApple独自のプロセッサになるものと思われる)。2022年夏にはM1の後継プロセッサとなる「M2」を搭載したMacBook Proも発売されている。M2もM1と同じくCPUコア数、GPUコア数、インタフェースを増やした「M2 Pro」「M2 Max」の登場が当初から予想されていた。
図1は、2023年1月に発売されたM2 Max版 MacBook Proの様子である。当社は、MacBook Proのほぼ全機種を分解しているが、分解の手順に過去製品と大きな差はない。筐体底面のネジを8カ所外せば底面カバーを容易に取り外すことができる。
内部は図1の左下のように上部が基板と空冷ファン(基板の下がキーボード)、筐体下部が電池と電池下にタッチパッドが設置されている。基板のほぼ中央にプロセッサが配置され、プロセッサの左右が空冷ファンとなっている。基板の左右は外部インタフェース、基板上部には通信用のアンテナが備わっている。電池は6セル。電池の左右はステレオスピーカー。ほぼ隙間のない内部構成となっている。また基板上端からディスプレイに出力端子と、Face Cameraとの接続配線が引き出されている。
図2は、M2 Max版MacBook Proの基板と空冷ファンを取り外した様子である。M2 Maxの直上にヒートシンクが設置され、ヒートシンクからヒートパイプを介して空冷ファンに放熱が行われている。
基板の左右の中央に空冷ファン、排熱はディスプレイとの接合部に向かって放出されるようになっている。基板の各所にもグラファイトシートが設置され、多重の熱対策が施されている。基板の裏面も多くの補強が成されている。金属ブリッジで固定され、さらに金属シールドが施されている。シールド下部には、電源安定化などのための多くのキャパシターやシリコンチップ(これがAppleの最大の特長! だが本稿では詳細は省略する)が埋め込まれている。プロセッサの特性を最大化するために、熱対策、電源設計などの対応が入念に行われているわけだ。
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