国家安全保障に関する規則を適用、米商務省:CHIPS法の補助を受ける企業に対し(2/2 ページ)
米商務省(DoC)は、CHIPS法(CHIPS and Science Act)の補助金520億米ドルの大部分を獲得することを目指す企業に対し、国家安全保障に関する規則を適用することに注力する。
人員計画の提出も要請
商務省は、これまでになかった要件の一つとして、「CHIPS法の補助金として1億5000万米ドルを超える金額を申請する企業は全て、人員計画を提出しなければならない」という点を追加した。例えば、社員たちのために、手頃な料金で利用できる保育所を用意することなどがある。
Raimondo氏は、「現在、手頃な料金の保育所が不足している。これは、人材の中でも特に女性を労働力の中から閉め出してしまう、最も重要かつ唯一の要因だといえる。米国の労働市場は、非常に厳しい状況にあり、労働力を見つけ出すことがとても難しい」と述べる。
「米国は今後10年間で、半導体関連分野の博士号取得者と学生の数を3倍に増やし、半導体技術者を10万人追加する必要がある」(Raimondo氏)
McKinseyのBurkacky氏は、「さまざまなレベルで全体的に人材が不足していることが問題だ」と述べる。同氏は、「工場技術者やエンジニア、半導体設計者などの人材は、全て不足している」と付け加えた。
商務省は、2つの最先端ロジックファブ群の建設をサポートする予定だという。
ある商務省当局者は、匿名を条件に、「米国では現在、最先端ロジック半導体が生産されていない。これらのファブ群は、既存工場が稼働している地域に建設される見込みだが、理論上は他の地域にも建設可能である。大切なのは、大規模かつ重要度の高いプロジェクトに注力し、米国の経済と国家安全保障に関連するプロジェクトをサポートすることだ」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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