公道で自動運転の実証実験を披露、ソフトバンク:「レベル4」解禁間近(2/2 ページ)
ソフトバンクが都内で開催した、最先端技術を体感できる技術展「ギジュツノチカラ ADVANCED TECH SHOW 2023」では、自動運転「レベル4」実装に向けた自動走行のデモが披露された。【修正あり】
高精度な3D都市モデルを作成、超解像技術の利用も
同社は、自動運転車の走行経路の設定に使用できるデジタルツイン技術も展示した。自動運転車には、あらかじめ走行ルートを学習させ、渋滞や事故、その他の交通事情に応じて臨機応変にルートを選択しながら走行させる必要がある。
同技術は、韓国インターネット最大手NAVERと共同開発したもので、高度4000mから撮影した都内の映像を使用して、バーチャル空間上に3Dモデルを再現するものだ。トンネルや高低差のある場所など、上空からの撮影が困難な場所は、該当箇所のみ自動車などで地上から撮影し、モデル補正を行う。AIを使って解像度を向上させる、いわゆる超解像処理を施す試みも慶応義塾大学 村井研究室インターネット自動車研究グループと行っており、今後の3D地図の用途の拡大に備えるという。
担当者は、技術の独自性について、「3Dモデルや地図を作成する際、地上計測のみに頼ると場合によっては数カ月かかる。一方で、航空機で撮影する場合は、映像の解像度が低く、自動運転用途では十分な精度を持ったモデルを作成することが難しいなどの課題があった。ソフトバンクの超解像度技術を利用すると、航空機を使って1日に150km2を撮影しつつ、高い解像度で3Dモデルを生成できるので非常に効率がいい。加えて、モデル作成時の現実との誤差も、衛星画像を利用すれば21cmほど発生するのに対し、5〜8cmほどで済むため精度も高い」と説明した。
会場では、VR(仮想現実)ゴーグルを使用し、作成した3D都市モデルの上空を飛行する体験もできるようになっていた。筆者も体験したところ、3D都市は、建物や道路を認識するには十分な解像度で、VR映像も比較的滑らかに動いているように感じた。
今後の課題について担当者は、「撮影コストなどを考えると、自動運転の用途のみでは採算が合わない。それ以外の用途を見つけ、できるだけコストを抑えることが課題だ。都市開発や自然災害、季節によっても街の様子が変わるため、どのくらいの頻度で撮影/3Dモデルの更新を行うかは、今後検討しなければならない」と述べた。
【修正:2023年3月31日8時57分 3D都市モデル作成の技術について、当初の記載内容に一部誤りがあったため、本文全体を修正しています。】
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