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米国が半導体技術センターを設立へ、110億ドルを投入2023年Q1にガイドラインを発表(2/2 ページ)

米国は、110億米ドルを投じて国立半導体技術センター(NSTC:National Semiconductor Technology Center)を創設する計画だ。アジア、特に中国への依存度を下げることが狙いの一つである。

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中国への依存度を下げる

 NSTCには、中国への依存度を下げたいという考えもある。

 MITRE EngenuityのCAO(Chief Acceleration Officer)を務めるLaurie Giandomenico氏は、「中国との戦略的競争は、複雑な技術分野における長期的な戦いだ。サプライチェーンの妥協や否定に対するレジリエンスを生み出すためには、半導体製造の安全性を確保し、米国と民主的同盟国が未来の半導体を確実にリードできるよう保証することが重要である。われわれの役割は、業界の目標と国家安全保障上の利益とのバランスを保つことである。つまり、CHIPS法の投資は、持続的な国家資源を構築できるものでなければならないということだ」と述べている。

 世界の半導体パッケージング能力の大半は、中国や台湾をはじめ、米国以外の国に存在している。これが、米国のエコシステムにおける最大のギャップの一つになっている。Jammy氏は、「パッケージ業界は労働集約度が高いため、これまで賃金の低いアジアが強力な競争優位性を保持してきたが、大幅なオートメーション化を実現すれば、パケージング産業をリショアリングすることが可能だ」と述べる。

 「現在、高性能パッケージングの多くは、TSMCやIntelなどのメーカーが得意とする、半導体製造のようになってきている。このようなパッケージングの製造においてオートメーション化や新しい種類のアプローチを導入すれば、それを国内で自然と実現できる方向に向かっていくだろう」(Jammy氏)

 3Dパッケージング技術を開発したTSMCとIntelは現在、CHIPS法の一連の刺激策に対応し、米国内で新しい半導体工場を建設しているところだ。

 米国は今後数年間で、新たに約13カ所に半導体工場を建設する準備を進めていることから、NSTCは、半導体エンジニア/技術者の不足を解決するためのサポートを提供する必要がある。

 米国では今後5年間で、新たに約5万人の半導体エンジニアが必要になる見込みだ。これは、現地の大学卒業予定者数の2倍を超える。

 ASICグループは提言の中で、「米国がそのギャップを埋めるためには、ビザ規制を緩和して、海外から半導体関連の人材を引き付ける必要があるだろう」と述べている。

 さらに同グループは、「米国政府や学術および産業界は、今後予定している取り組みとして、国内に強力な人材パイプラインを構築することを目指していくが、米国の業界は短期的には、引き続きH1-Bカテゴリーの外国人に目を向けて人材プールを補完していく考えだ」と述べる。

 Jammy氏は、「それでも、NTSCは長期的には、より多くの半導体関連の人材を国内で育成していく必要がある」と指摘する。

 「われわれには、人材を再教育/再活用するための方法ついて、非常に注意深く検討するチャンスがある。例えば、軍隊には、よく訓練された優秀な人材がいる。少しトレーニングを行えば、工場内で大いに役立つ存在となるだろう。特に、これまで必ずしも機会を得られなかったマイノリティーや女性など、より多くの人々に働きかけるには、どのようにすればよいのだろうか」(Jammy氏)

 同氏は、「米国は長期的に、人材不足を解消するためには、STEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)教育を強化する必要がある」と付け加えた。

 さまざまな企業や組織によるIP(Intellectual Property)管理は、NSTCにとって問題になるだろう。

 ASICグループは発表した論文の中で、「これらの企業組織が半導体コミュニティーに貢献する上で重要なのは、例えばIP関連の法外なコストのように、中小企業やスタートアップにとっての参入障壁を取り除くことだ。NSTCは、これらの事業体がIPを簡単に利用して新しい技術や関連するIPを開発したり、その技術を容易にライセンス供与して、投資家や戦略的パートナーたちから追加資金を調達できるような構造でなければならない」と述べている。

【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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