Boschが米ファウンドリーを買収、26年からSiC生産へ:15億ドル超投じ既存工場を転換
Boschは2023年4月26日、米国のファウンドリーであるTSI Semiconductorsを買収し、その工場を200mmウエハー対応のSiC(炭化ケイ素)デバイス工場に転換、2026年にも生産を開始すると発表した。
Boschは2023年4月26日(ドイツ時間)、米国のファウンドリー(半導体受託製造企業)であるTSI Semiconductors(以下、TSI)を買収すると発表した。買収額は明かしていない。Boschは、今後数年で15億米ドル以上を投資してTSIの工場を200mmウエハー対応のSiC(炭化ケイ素)パワー半導体工場に転換し、2026年に生産を始める予定という。
TSIは米国カリフォルニア州ローズビルに拠点を置くASICのファウンドリーだ。従業員は250人。現在、主にモビリティ、テレコミュニケーション、エネルギー、ライフサイエンス産業などのアプリケーション向けに、200mmシリコンウエハー対応工場でチップを生産しているという。Boschは今回の買収によって同工場を取得し、今後数年間で15億米ドル以上を投じて最新鋭のプロセスに転換。2026年からSiCの200mmウエハーでパワー半導体を生産していく方針だという。
Bosch会長のStefan Hartung氏は、「TSIの買収により、当社は重要な販売市場でSiC半導体の製造能力を確立するとともに、世界的に半導体製造を拡大できる。既存のクリーンルーム施設と専門人材の取得により、エレクトロモビリティ用のSiC半導体を大規模に製造できる」と述べている。
Boschは近年、半導体事業を拡大していて、2021年には10億ユーロを投じてドイツ・ドレスデンに300mmウエハー工場を開設した。SiCパワー半導体についても、2021年から、シュトゥットガルト近郊のロイトリンゲン工場で量産を開始していて、将来的には、同工場でも200mmウエハーでの生産を行う予定だ。また2025年末には、ロイトリンゲンのクリーンルームの面積を約3万5000m2から4万4000m2以上に拡張する計画を立てるなど、投資を加速。2022年7月には、「IPCEIマイクロエレクトロニクスおよび、通信技術」プログラム(欧州共通利益に関する重要プロジェクト)の一環として、2026年までに半導体事業に30億ユーロを投資すると発表している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ST、自動車部品大手ZFとSiC供給の複数年契約を締結
STMicroelectronicsは、自動車部品大手ZF Friedrichshafenが2025年に量産開始予定の車載インバーター向けに、数千万個単位のSiCデバイスを供給する。2023年4月13日、両社がSiCデバイスの複数年供給契約を締結したと発表した。 - 加速する工場投資〜各企業の新設/増設動向【パワー半導体編】
2022年は、半導体工場への投資が相次いだ。EE Times Japanで取り上げた約60本の記事の中から、「パワー半導体編」「メモリ編」「ロジック編」の3本をブックレットとしてお届けする。本稿は、第1弾となる「パワー半導体編」である。 - Wolfspeed、ドイツに200mmウエハーSiC工場新設へ
Wolfspeedは2023年2月1日(米国時間)、ドイツ・ザールラント州エンドルフに200mmウエハーのSiC(炭化ケイ素)工場を建設する計画だと発表した。 - Infineon、レゾナックとSiC材料供給契約を新たに締結
Infineon Technologiesは2023年1月12日、レゾナック(旧:昭和電工)とSiCパワー半導体に使用されるSiC材料について新たな複数年の供給/協力契約を締結し、2021年に締結した販売および共同開発契約を補完/拡大する、と発表した。 - 昭和電工、200mmSiCエピウエハーのサンプル出荷開始
昭和電工は2022年9月7日、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体に使用されるSiCエピタキシャル(以下、SiCエピ)ウエハーについて、国内メーカーとして初めて8インチ(200mm)サイズのサンプル出荷を開始したと発表した。 - 自動車業界だけではない、SiCのポテンシャルを評価する
SiC(炭化ケイ素)は、スイッチング周波数やジャンクション温度が高いことから、今や自動車業界においてSi(シリコン)IGBTデバイスの後継になる存在として認識されるようになった。しかし電動化というテーマは、自動車に始まり自動車で終わる、というわけではない。本稿では、幅広い市場での拡大が見込まれるSiCのポテンシャルについて考察する。