Infineon、レゾナックとSiC材料供給契約を新たに締結:市場シェア30%獲得に向け
Infineon Technologiesは2023年1月12日、レゾナック(旧:昭和電工)とSiCパワー半導体に使用されるSiC材料について新たな複数年の供給/協力契約を締結し、2021年に締結した販売および共同開発契約を補完/拡大する、と発表した。
Infineon Technologies(以下、Infineon)は2023年1月12日、レゾナック(旧:昭和電工)とSiC(炭化ケイ素)パワー半導体に使用されるSiC材料について新たな複数年の供給/協力契約を締結し、2021年に締結した販売および共同開発契約を補完/拡大する、と発表した。
Infineonは2021年5月6日、レゾナック(当時:昭和電工)とエピタキシーを含む広範囲なSiC材料の供給契約を締結したと発表、契約期間は2年間だが、延長のオプションがあるとしていた。今回の契約はこの発表を補完および拡大する新しい複数年契約で、Infineonは、「一連の契約により、SiCに関する長期的なパートナーシップが深まる」としている。
契約によって、レゾナックはInfineonに対しSiCパワー半導体の製造に必要なSiC材料を供給、今後10年間の需要予測のうち2桁のシェアをカバーすることになるという。レゾナックは、初期段階では6インチ(150mm)のSiC材料を供給し、途中から8インチ(200mm)への移行もサポートする予定だ。また、Infineonは今回の提携の一環として、レゾナックにSiC材料技術に関する知的財産を提供するという。Infineonは「当社とレゾナックの提携は、サプライチェーンの安定に貢献し、新しい半導体材料であるSiCの急速な成長を支えていく」と述べている。
27年までに10倍に、SiC製造能力拡大を進めるInfineon
Infineonは、2030年までに市場シェア30%を獲得するという目標達成に向け、SiCの製造能力を拡大している。同社は2027年までにSiC製造能力を現在の10倍に拡大する計画で、SiCおよびGaN(窒化ガリウム)の新工場をマレーシア・クリムに建設中だ。同工場は2024年に生産を開始する予定で、現在SiC製品を生産するオーストリア・フィラッハ拠点と2拠点体制で大規模な生産を行っていく方針としている。
Infieonのインダストリアルパワーコントロール(IPC)事業部プレジデント、Peter Wawer氏は、「再生可能エネルギーの発電/蓄電、エレクトロモビリティやインフラストラクチャといった分野でのビジネスチャンスは、今後数年にわたり非常に大きなものとなる。当社はSiC技術と製品ポートフォリオへの投資を倍増させ、最も広範な製品ポートフォリオを顧客に提供する」と述べている。
また、レゾナックのデバイスソリューション事業部エグゼクティブアドバイザー、石川二朗氏は、「われわれは、ベストインクラスのSiC材料を継続的に改良し、次世代の8インチウエハー技術を開発する。Infineonはそのための優れたパートナーであると評価している」と述べている。
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