ChatGPTは怖くない 〜使い倒してラクをせよ:踊るバズワード 〜Behind the Buzzword(18)(4/11 ページ)
ある日突然登場し、またたく間に世間を席巻した生成AI「ChatGPT」。今や、ネットでその名を聞かない日はないほどです。このChatGPTとは、一体何なのか。既に数百回以上、ChatGPTを使い倒している筆者が、ChatGPTの所感をエンジニア視点で語ってみたいと思います。
ChatGPTは「気持ち悪い」!?
さて、今回のコラムでは、ChatGPTのシステム全体について解説するつもりはありません。
このコラムでは、私(江端)が、ChatGPTについて『気持ち悪!』と考えるところだけに注力して解説します。私が理解できているところは、平気でふっ飛ばしますが、悪しからずご了承ください。
私がChatGPTに対して『気持ち悪!』と思う点は、ざっくりまとめると以下の3つです。
まとめますと、「なぜ、ChatGPTは、私(たち)に違和感を与えることがないような、人間が語る/書くような形式の出力ができるのか」に尽きるわけです。
情報の収集については、ネットから情報を集めていることは明らかですし、それはGoogleをはじめ、各種の検索エンジンで、私たちはよく目にしているものですので、その部分については「気持ち悪!」とは思っていません。
しかし、このChatGPTの解答やその応答形式は、間違いなく「気持ち悪い」。
まるで、パソコンの向こう側に人がいるかのような錯覚を与えるほどです。チューリングテスト(ただし、一回限りの応答限定)をすれば、間違いなくテストをパスしそうです。まあ、だからこそ、『ChatGPTには知性がある』と言い出す人が出てくるわけですが、それも無理ないかなぁ、と思うのです。
ちなみに、AIの知性については、この「チューリングテスト」に対するアンチテーゼとして「中国語の部屋」というのもあります(下記の表はご参考です)(関連記事:「弱いままの人工知能 〜 “強いAI”を生み出すには「死の恐怖」が必要だ」)。
それはさておき、とにかくChatGPTの技術に関する文献が少なくて、本当に困りました。Amazonで、いくつか入門書を購入してみたのですが、正直「返品しようかな」という内容でした。
ChatGPTの使い方なら、『使えば分かる』し、技術内容であるなら全然説明が足りません。一応、ChatGPT自身に、「ChatGPTを理解するお勧めの本」ついても質問してみたのですが、「深層学習」や「機械学習」の本を紹介してくるありさまで、アテになりません。
『となると、ちゃんと勉強するしかないかなぁ』と思い、過去の論文を調べることにしました。私が今回参考にさせていただいたのは、以下の資料です。
あと、ほぼ原稿を書き終えてから気がついたのですが、AI研究をやっている人(特に、Deep Learningの学習メカニズムを理解している人)であれば、
Qiitaで公開されているオミータ氏の記事(リンクはこちら)は突出して優れた資料でした。ご一読を、強く、強くお勧めいたします(本コラムの中でも、使わせていただいております)。
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