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ニデック、ルネサスとの協業で次世代E-Axleの勝機を狙う中国市場でのシェア拡大見据え(1/2 ページ)

ルネサス エレクトロニクスとニデックは、EV(電気自動車)向けの次世代E-Axleを実現すべく、PoC(Proof of Concept)を共同開発する。両社は2023年6月6日の記者説明会で、協業の背景について説明した。

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 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)とニデックは2023年6月6日、記者説明会を実施し、EV(電気自動車)向けE-Axle(イーアクスル)の半導体ソリューションにおける協業の背景を語った。

ニデック 常務執行役員 副最高技術責任者 兼 半導体ソリューションセンター所長の大村隆司氏(左)、ルネサス 執行役員 兼 ハイパフォーマンスコンピューティング・アナログ&パワーソリューショングループ 共同ジェネラルマネージャーのVivek Bhan氏
ニデック 常務執行役員 副最高技術責任者 兼 半導体ソリューションセンター所長の大村隆司氏(左)、ルネサス 執行役員 兼 ハイパフォーマンスコンピューティング・アナログ&パワーソリューショングループ 共同ジェネラルマネージャーのVivek Bhan氏[クリックで拡大]

 今回の協業では、ニデックのモーター技術とルネサスの半導体技術を組み合わせ、業界最高水準となる高性能/高効率および、小型軽量/低コストの次世代E-Axleの実現に向けて、高機能なPoC(概念実証:Proof of Concept)の共同開発を目指している。

 モーターやインバーター、ギヤを一体化した電動化ユニットであるE-Axle(3つの機能を統合しているので「3-in-1」ユニットとも呼ぶ)の採用は、特に中国で加速しているが、ニデック 常務執行役員 副最高技術責任者 兼 半導体ソリューションセンター所長の大村隆司氏は「われわれにも勝機がある。(その勝機をつかむために)PoCが非常に重要になる」と強調する。

 同社は、EVの電動化ユニット(X-in-1)の動向を3段階に分類し、モーターやインバーターなどそれぞれを個別に制御するもの「第1世代」、現状のE-Axle(3-in-1)のように部分的に機能を統合したものを「第2世代」、モーターからOBC(オンボードチャージャー)、DC-DCコンバーターまでの機能を1台にした6-in-1/7-in-1などのシステムを「第3世代」と位置付けている。今回のPoC開発は、第3世代を見据えた取り組みだ。

バッテリーEVの電動化ユニット(X-in-1)の動向
バッテリーEVの電動化ユニット(X-in-1)の動向[クリックで拡大] 出所:ニデック

最適なサプライヤーを決めきれていない

 ニデックは、PoC開発にあたり、複数のサプライヤーに協業の話を持ち掛けたという。大村氏は、協業先をルネサスに決めた理由について「ルネサスは、半導体製品のポートフォリオが広い。加えて、今後パワー半導体に注力していく戦略も明らかにしていて、ニデックの方針に合うと感じた。また、ルネサスは、半導体の提供や助言だけでなく、対等な立場で研究開発をするという積極的な姿勢を示してくれたため、協業での将来的な可能性を感じた」と説明した。


X-in-1におけるPros(長所)とCons(懸念点)。PoCの開発により、これらProsとConsの解決を目指す[クリックで拡大] 出所:ニデック

 一方、第3世代に使う半導体のサプライヤーについて同氏は、「第3世代の生産/提供に向けて、最適なサプライヤーを探しているが、正直決めきれていない。PoC開発のパートナーとしてルネサスを選んだが、今回の協業は、PoCの開発に限ったものだ。PoC開発に必要な半導体も、ルネサス以外のものを使う可能性は十分にある。また、第1世代/第2世代で取引しているサプライヤーとの関係は継続し、第3世代についても、ルネサスも当然候補にはいるが、採用されるかはまだ分からない」と強調した。

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