完全自動運転の入り口となる「レベル3」乗用車の発売と進化:福田昭のデバイス通信(407) 2022年度版実装技術ロードマップ(31)(1/2 ページ)
第2章第5節(2.5)「モビリティー」の概要を説明するシリーズ。今回は「自動運転と遠隔操作」の内容を説明する。
自動運転と遠隔操作の開発動向やセンサ技術などを解説
電子情報技術産業協会(JEITA)が3年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)を2022年7月に発行した。本コラムではロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、ロードマップの概要を本コラムの第377回からシリーズで紹介している。
前回から、第2章第5節(2.5)「モビリティー」の概要をご説明している。第2章第5節(2.5)「モビリティー」は、第1項(2.5.1)「はじめに」、第2項(2.5.2)「自動運転と遠隔操作」、第3項(2.5.3)「電動化技術」、第4項(2.5.4)「EMC・ノイズ対策」、第5項(2.5.5)「日本のモビリティー産業界への提言」で構成される。今回は第2項(2.5.2)「自動運転と遠隔操作」の内容を抜粋してご報告する。
第2項(2.5.2)「自動運転と遠隔操作」は、「2.5.2.1 開発動向」「2.5.2.2 自動運転と遠隔操作の要素技術」「2.5.2.3 センサの開発動向」「2.5.2.4 スマート農業への活用事例(農耕機、ドローン)」で構成する。
運転者主体のレベル1〜レベル2、システム主体のレベル3〜レベル4
自動車の運転を自動化する段階は通常、レベル0〜レベル5までの5つの水準で定義する。なお「レベル0」は、自動運転技術がまったく導入されていない水準、言い換えると、運転に関する全ての操作(タスク)を運転者が実行する水準を指す。
自動化の段階は大別すると、運転者が主体となってタスクを実行する「レベル0〜レベル2」と、自動運転システムが主体となってタスクを実行する「レベル3〜レベル5」に分けられる。「レベル1」と「レベル2」の自動運転機能は既に、市販車(新車)の多くに導入済みだ。
技術的な飛躍(あるいはギャップ)が存在するのは、レベル2とレベル3の間である。レベル2では運転の主体が人間(運転者)であるのに対し、レベル3になると運転の主体がシステムに変わるからだ。ただしレベル3ではシステムが運転操作を継続困難な状況になると、運転の主体が人間(運転者)に切り換わる。このため、運転者の状態(運転が可能かどうか)を常に監視しておく機構が必要となる。
「レベル4」に達すると、自動車は無人でシステムが全ての運転操作を実行する。操作の実行が難しくなったときの対応もシステムが担う。ただし、運転する領域は限定される。
「レベル5」は領域を限定せずに、システムが全ての運転操作を実行する。運転者は存在しない。「完全自動運転車」とも呼ばれる。技術的には最も困難であり、自動運転の最終形ともいえる。
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