「安全な生成AI」の社会実装に向け本格始動、GUGA:資格やコミュニティーを提供
2023年5月に発足した「生成AI活用普及協会(GUGA)」が記者説明会を実施し、同協会の概要や設立背景をあらためて語った。資格試験「生成AIパスポート」やコミュニティーの提供を通じて、生成AIの公正かつ安全な普及/社会実装を目指している。
生成AIの社会実装と普及を目指す「生成AI活用普及協会」(Association to Generalize Utilization of Generative AI、以下GUGA)は2023年7月13日、団体概要や方針に関する報道向け戦略発表会を実施した。
同団体は、「ChatGPT」をはじめ急速な進化を遂げる生成AIのスキル習得やその可視化、ビジネス/個人における適正利用を推進するため、2023年5月10日に発足した。GUGA 理事の花島晋平氏は、GUGA設立の背景について「生成AIの公正かつ安全な普及および社会実装を目指すため」だと語る。
「従来のAI(人工知能)は、ビッグデータ解析などのために、専門知識を持つエンジニアが活用する技術だった。しかし、生成AIの普及により、非エンジニアが自然言語で簡単にAIを利用できるようになった。一方で、生成AI活用のルールやガイドラインの整備が追い付いていないため、権利侵害やフェイクニュース、詐欺被害などの問題も出てきている。GUGAは、資格試験『生成AIパスポート』やコミュニティーの提供を通じて、生成AIの公正かつ安全な普及/社会実装を目指している」(同氏)
2026年までに「生成AIパスポート」取得者66万人を目指す
GUGAは、生成AI活用の前提となるリテラシーやモラルの理解度を可視化するための取り組みとして、資格試験「生成AIパスポート」を設ける。同資格では、「AI」「生成AI」に関する基礎知識や、生成AI活用に関するガイドラインなど、生成AIを安全に導入するために必要な情報を取り扱う。
花島氏は「『生成AIパスポート』資格の設置と普及を通じて、組織にとっても個人にとっても安心して生成AIを活用できる社会作りに貢献する」と語る。「特に、企業による生成AI導入においては、ガイドラインの重要性を理解せずに社員/職員が活用した場合、権利侵害や誤情報の発信などの大きな問題に発展する可能性がある」(同氏)。GUGAは、2026年までに「生成AIパスポート」取得者66万人を目指している。2023年8月初旬に生成AIパスポートに関する公式テキストを発売し、資格試験を同年9月中旬に実施する予定だ。
同団体は、「GUGAコミュニティー」も設置。生成AIに関する情報交換やビジネスマッチング支援を推進する。会員種別には正会員、法人会員、自治体会員、一般個人会員などがあり、生成AIに関する人材育成/採用や自社サービスの情報発信など、目的に応じて選択可能だ。
また、同団体の所定の審査を通過した企業を「認定機関」として認定することで、良質な生成AI関連サービスを提供できているかを可視化し、利用者が安心安全なサービスを享受できる社会形成を目指す。認定対象の企業および提供サービスとしては、生成AIに関する資格試験対策講座やガイドライン作成支援、企業への生成AI導入支援などを想定している。
生成AIは、「課題探し」が難しい現代ビジネスの必需品
花島氏と同じくGUGA 理事を務める澤円氏は、生成AIが産業全体に与える影響について「とても大きいだろう」と語る。「昔は解決すべき『課題』が明確だった。例えば、洗濯板から洗濯機に変わった時は、洗濯機の有用性が分かりやすかった。しかし、現在は、『課題を見つけること』が課題になっている。生成AIは『課題探し』を素早く実行できるため、今後はビジネスでも活発に使われるだろう。裏を返せば、生成AIを使いこなせない企業は、他社に後れを取ることになる」(同氏)。半導体業界への影響については、「現時点で数値的な予測はしていないが、既存のテクノロジーの進化による成長ではなく、生成AIの活用で生まれる今までとは異なるテクノロジーの進化により、市場が成長すると予測している」とコメントした。
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