日本製半導体/FPD製造装置、23年度は厳しい市況に:24年度以降は2桁成長の見込み
日本半導体装置協会は2023年7月6日、「半導体・FPD製造装置 需要予測(2023年度〜2025年度)」を発表した。日本製の半導体/FPD製造装置市場は、2023年度は共に厳しい予測も、2024年以降は2桁成長を見込んでいる。
日本半導体装置協会(以下、SEAJ)は2023年7月6日、「半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置 需要予測(2023年度〜2025年度)」を発表した。同予測は、SEAJの半導体調査統計専門委員会およびFPD調査統計専門委員による需要予測と、SEAJ理事/監事企業20社による市場規模動向調査結果を基に、SEAJがまとめた結果だ。
2023年度はマイナス成長も、2024年度以降は2桁成長
まず、半導体製造装置については、2023年度(2023年4月〜2024年3月)の日本製装置の販売高は、前年度比23%減の3兆201億円と予測した。中国を中心に成熟世代向けの設備投資が継続している一方で、米国の対中輸出規制を受けて先端工場計画を変更したことによるマイナス影響や、メモリを中心とした設備投資の回復に時間を要している状況を踏まえた予測だ。
2023年の電子機器市場は、欧米を中心としたインフレの進行や、ロシアのウクライナ侵攻の長期化によるエネルギー価格の高騰など、マクロ経済への不安により購買意欲が低下している。PCやスマートフォンの出荷台数も前年(2022年)を下回る見込みで、メモリなどの半導体の在庫が滞留。価格が大幅に低下し、生産調整も続いている。
2024年度(2024年4月〜2025年3月)の販売高については、メモリの復調に加え、ロジックファウンドリーへの投資回復が見込まれるため、前年度比で30%増となる3兆9261億円と予測した。2024年の電子機器市場は、新CPUのリリースや「ChatGPT」をはじめとした生成AIの活用拡大により、データセンター向けサーバの新規/入れ替え投資の増加や、マクロ景気の回復が見込まれるとともに、民生機器の需要が回復すると予想した。
2025年度(2025年4月〜2026年3月)の販売高は、民生機器やデータセンター向けサーバの需要増に加え、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)、EV(電気自動車)や自動運転などの多種多様なアプリケーションの発展に伴った投資が継続されるとし、前年度比10%増の4兆3187億円と予測した。
日本製FPD製造装置は「第8世代基板での活躍に期待」
2023年度の日本製FPD製造装置の販売高は、大型の投資案件が少ないため、前年度比20%減の3425億円と予測した。パネル価格は、2021年のコロナ禍での巣ごもり需要をピークに下落した。その後、2022年秋ごろには下げ止まり、TV用に関しては、2023年春から需要好転が起きている。しかし、設備投資の回復などには至っておらず、厳しい先行きとなっている。
2024年度は、第8世代(G8)基板での新技術を使ったOLED投資が始まる見込みのため、前年度比30%増の4453億円。2025年度もG8クラスのOLEDへの投資継続を見込み、同5%増の4676億円と予測した。現在、IT製品へのOLEDパネルの搭載検討が進んでいて、これまでのスマートフォン用OLEDと比較して1台当たりのパネルサイズが大きくなることから、生産効率のいいG8基板での製造が必要とされている。既に、FPD製造装置メーカーでは量産に向けた開発が進められていて、相対的に同分野で先行する日本製製造装置の活躍が期待されている。
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