世代転換戦略が好調、ニデックのE-Axleが初の黒字化:23年度1Qは過去最高益を更新(1/2 ページ)
ニデックの2023年度(2024年3月期)第1四半期決算は、売上高が5660億5500万円、営業利益は601億5200万円と増収増益だった。トラクションモーターシステム「E-Axle」の収益改善や前年度に実施した固定費削減が奏功した。
ニデック(旧日本電産)は2023年7月20日、2024年3月期(2023年度)第1四半期(2023年4〜6月)決算を発表した。2023年度第1四半期の売上高は、前年同期比4.8%増の5660億5500万円。営業利益は同34.7%増の601億5200万円、純利益は同55.0%増の640億4100万円だった。
ニデックの代表取締役会長である永守重信氏は、増収増益の理由について、「車載分野が好調で、トラクションモーターシステム『E-Axle』も初めて黒字化した。これは、不採算事業である第1世代から順次撤退し、採算性の高い第2世代への転換を行っていることが功を奏したと考えている。また、家電/商業/産業用向け分野は、海外で活発化しているインフラ関連のグリーン投資の影響で好調だ。増益に関しては、2022年度に実施した構造改革により、年間200億円の固定費を削減できた影響も大きい」と説明した。
なお、2024年3月期通期は、売上高が前年比1.9%減の2兆2000億円、営業利益が同119.8%増の2200億円になる見込みだ。
車載向けは数量減も、売上/利益ともに好調
用途別で見ると、車載向けの売上高は、中国のEV(電気自動車)市場の鈍化があったものの、グローバルでの自動車生産台数の増加や為替の好影響を受け、前年同期比21.5%増の1376億円と増収。営業利益は、2022年度に実施した構造改革で固定費を大幅削減したことやE-Axleの製品構成改革により黒字化し、110億2800万円だった。
E-Axleは、第1世代の受注を戦略的に減らし、第2世代への移行を促しているため、販売総数は減少している。一方で、収益性が改善したため増収増益となった。永守氏は、今後のE-Axleの戦略について「E-Axleは当初、2029年に第4世代の提供を開始することを目指していたが、市場の流れを考えるとそれでは遅いと考えている。2024年半ばに第3世代(X-in-1)、2026年あるいは2027年に第4世代を提供開始できるように開発を進めていく」と説明。さらに「2023年6月に発表したルネサス エレクトロニクスとの協業成果については、2025年頃を目標に提供を開始する想定だ」と続けた。
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