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スマホやPCは「中身のみ進化」する時代に突入この10年で起こったこと、次の10年で起こること(75)(2/4 ページ)

今回は、Appleの「Mac Pro」と「Mac Studio」や、ソニー、Samsung Electronicsのスマートフォンを分解。いずれも「外観は前世代品と同じ」で、中身を大きく変更していることが共通している。

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初代Mac Studioと第2世代Mac Studioの比較

 表1は、2022年3月発売の初代Mac Studioと2023年6月発売の第2世代Mac Studioの比較である。

表1:初代Mac Studioと第2世代Mac Studioの比較(その1)
表1:初代Mac Studioと第2世代Mac Studioの比較(その1)[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 外観の大きさ、形状、端子位置などは初代も第2世代もほぼ同じだ。基板もサイズ、形状ともほぼ同じものとなっている。見た目で分かる差はプロセッサで、初代がM1 Ultra(M1 Maxを2個搭載)、第2世代がM2 Ultraになっている点である。M1 Ultra(通称)のチップ型名は「APL1W06」、M2 Ultraは「APL1W12」。型名で判断する以外には見た目では差が分からない(厳密にはシリコンサイズが若干異なるので測長すれば判定できる)。

 基板裏面のキャパシター部もほぼ同じものとなっている。電源ICの個数、配置場所も初代と第2世代は同じだ。基本コンセプトは初代のものを使い、第2世代ではプロセッサがアップデートされた“改良版”というわけだ。

 表2は、初代および第2世代のMac Studioの詳細な差である。採用されるコンポーネント機能は同じだが、一部がバージョンアップされている。Texas Instruments(TI)のUSB Power Deliveryチップの枝番(B12→B13)、Apple製キャパシターシリコンの型名が変更されている。

表2:初代Mac Studioと第2世代Mac Studioの比較(その2)
表2:初代Mac Studioと第2世代Mac Studioの比較(その2)[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 電源ICは初代、第2世代ともに同じものになっている。大きな変更点は初代で採用されていたIntel製のThunderbolt 4.0のインタフェースICが、Apple製に置き換わっていることだ。実際には2022年のMacBook Proから、Apple製に置き換えられていたのだが、2023年のMac Studio(Mac Proも)でもThunderboltチップはApple製となっている。2011年のMacから採用されたThunderboltインタフェースは長きにわたりIntel製が採用されてきたのだが、2023年、IntelはプロセッサだけでなくThunderboltも置き換えられ、Apple製品内ではゼロになってしまった。

コアや部品を増減させて「M2」シリーズを展開

 表3は、2022年6月に登場したApple M2、2023年2月登場のM2 Pro、M2 Max、2023年6月登場のM2 Ultraのパッケージ外観(LID外し)、シリコン外観(配線層剥離済)、電源IC(個数)、シリコンキャパシター(個数)のまとめである。

表3:Appleの「M2」シリーズの一覧
表3:Apple「M2」シリーズの一覧[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 同じCPU、GPUコアの個数を増減し、インタフェースを増減してスケーラブルを実現している。Apple M1世代も同様であった。またプロセッサ規模に比例して、電源ICなども使用個数を増減させるスケーラブル構成になっている。コアの増減だけでなく、部品の増減で、スーパーハイ/ハイ/ミドル/ローを作り分けているわけだ。理想的なエコシステムが出来上がっている。M3、M4と進化する場合も、プロセッサだけでなく、部品群もスケーラブルに展開されていくことは間違いないだろう。

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