スマホやPCは「中身のみ進化」する時代に突入:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(75)(3/4 ページ)
今回は、Appleの「Mac Pro」と「Mac Studio」や、ソニー、Samsung Electronicsのスマートフォンを分解。いずれも「外観は前世代品と同じ」で、中身を大きく変更していることが共通している。
ソニーも「外観キープ」戦略
図2右は、2023年6月にソニーから発売されたハイエンドスマートフォン、「Xperia 1 V(マーク5)」、左は2022年発売の「Xperia 1 IV」である。
Xperia 1 Vでは、カメラ構成が4眼(TOF[Time of Flight]センサーあり)から3眼(TOFセンサーなし)になり、12M画素のワイドカメラが48M画素に置き換わるなど、大きく変更されている。ただし、スマートフォン全体の外観や画面サイズ、ディスプレイ画素数などは変わらない。
外観はほぼ同じまま、内部の機能をアップグレードしているという点で、前述のMac Studioと同じ変化となっている。このように、「外観はほぼ同じまま、内部をアップグレードする」という流れは、ブランド力を持つメーカーでは定番ともいえる。
図3は、Xperia 1 VとXperia 1 IVの内部基板である。ともに2層基板構成を取っていて、下基板が通信をメインとし、上基板がプロセッサ機能を持っている。
通信とプロセッサを分離することで特性を出しやすい(Appleの「iPhone」やSamsung Electronicsの「Galaxy S」シリーズなども2層基板構成)。2つの機種の基板形状やサイズ、搭載される機能、部品の配置場所までほぼ同じものとなっている。やや異なる場所もあるものの基本は同じである。2022年のXperia 1 IVはプロセッサにQualcommの「Snapdragon 8 Gen 1」を用いており、2023年のXperia 1 Vでは進化した「Snapdragon 8 Gen 2」を用いている。プロセッサ置き換えに伴う、内部の変更と微調整が行われたわけだ。
表4は、2022年Xperia 1 IVと2023年Xperia 1 Vのプロセッサの様子である。Snapdragon 8 Gen 1と8 Gen 2の間には「Snapdragon 8+ Gen 1」というチップがあるが、ソニーは採用していない。
Snapdragon 8 Gen 1はSamsung Electronicsの4nm世代プロセスで製造、Snapdragon 8 Gen 2はTSMCの4nmプロセスで製造という大きな差と、Snapdragon 8 Gen 2の方が機能アップしている(回路増加)という差がある。同じ4nmだが、TSMCの方が6%ほどシリコン面積は小さくなる。機能アップも加味すると10%ほどTSMCの方が小さい(詳細は有償のテカナリエレポートに掲載)。
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