HDD大手Western Digitalの業績、4四半期連続の減収で赤字幅がさらに拡大:福田昭のストレージ通信(254)(1/2 ページ)
米Western Digitalの2023会計年度第4四半期(2023年4月〜6月期)の業績を報告する。
粗利益率が前期の2.7分の1、3.9%に大きく減少
ハードディスク装置(HDD)の大手ベンダーである米Seagate Technology(以降はSeagateと表記)と米Western Digital(以降はWDと表記)が、四半期の業績を相次いで公表した。発表日(現地時間)はSeagateが2023年7月26日、WDが同年7月31日である。本コラムでは、両社の業績を続けて報告している。前回はSeagateの業績概要を紹介した。今回はWDの業績概要をご報告する。
WDの会計期間はSeagateと同様に7月から始まり、6月を決算月とする。7月31日にWDが発表したのは2023年4月〜6月の四半期業績で、会計年度では「2023会計年度第4四半期(Q4FY23)」となる。
WDはHDDの大手ベンダーであるとともに、フラッシュメモリ応用品の大手ベンダーでもある。HDD事業とフラッシュメモリ事業の売り上げ比率は若干の変動はあるものの、おおむね半分ずつを占める。本稿では両方の事業について、四半期業績の発表資料から説明する。
2023会計年度第4四半期(2023年4月〜6月期)の売上高は前四半期比(前期比)5%減、前年同期比41%減の26億7200万米ドルである。前期比では4四半期連続の減収となった。HDD事業の売り上げは前期比13%減で、前四半期の同3%増から2桁のマイナス成長に落ち込んだ。フラッシュメモリ事業の売り上げは前期比5.3%増で、前四半期の同21%減からプラス成長に転じた。
2023会計年度第4四半期(2023年4月〜6月期)の営業損益はNon-GAAPベースとGAAPベースともに赤字が続く。Non-GAAPベースの営業損失は4億7800万米ドル、GAAPベースの営業損失は6億5000万米ドルである。
粗利益率(Non-GAAPベース)は3.9%とさらに低下した。前四半期の粗利益率(同)は10.6%、前年同期は32.3%だった。
Western Digitalの四半期業績推移。同社の公表資料から筆者がまとめたもの。なお営業利益はGAAPベースなので、業績概要のスライド(Non-GAAPベース)とは数値が一致していない(クリックで拡大)
クライアントとコンシューマーの売り上げが前期比で増加
応用分野別の売り上げを見ていこう。WDは売り上げを3つの分野に分けて公表している。すなわち、「クラウド(Cloud)」(パブリックあるいはプライベートのクラウド向け)、「クライアント(Client)」(直接販売、あるいは代理店経由の販売によるOEM向け)、「コンシューマー(Consumer)」(リテールその他の販売チャンネルによる一般消費者向け)、の3つである。
「クラウド」分野の売上高は前四半期比(前期比)18%減、前年同期比53%減の9億9400万米ドルである。全体の売り上げに占める比率は37%と前期から6ポイント低下した。前期に比べてエンタープライズ向け大容量HDDの出荷が減少したことが、売り上げの2桁減を招いた。
「クライアント」分野の売上高は前四半期比(前期比)6%増、前年同期比37%減の10億3500万米ドルである。全体の売り上げに占める比率は39%で前期から4ポイント上昇した。ビデオゲーム機器向けの出荷量(ビット換算)が増加したことが、前期比での売り上げ増に寄与した。
「コンシューマー」分野の売上高は前四半期比(前期比)3%増、前年同期比19%減の6億4300万米ドルである。全体の売り上げに占める比率は24%で、前期と比べて2ポイント上昇した。前四半期と比べ、リテール向けSSDの出荷が好調だった。
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