航空機の温室効果ガス削減と電動化:福田昭のデバイス通信(416) 2022年度版実装技術ロードマップ(40)(1/2 ページ)
今回は「電動化技術」の第6パート「2.5.3.6 航空機と空飛ぶクルマ」の内容を紹介する。
航空輸送量の増加によって二酸化炭素排出量は25年で2倍に増加
電子情報技術産業協会(JEITA)が3年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)を2022年7月に発行した。本コラムではロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、ロードマップの概要を本コラムの第377回からシリーズで紹介してきた。
本シリーズの前回までは、第2章第5節第3項「電動化技術」の第4パートである「2.5.3.4 EVインフラ」の概要を説明してきた。今回は「電動化技術」の第6パート「2.5.3.6 航空機と空飛ぶクルマ」の内容を簡単にご紹介する。
第2章第5節第3項(2.5.3)「電動化技術」の目次。今回は、「2.5.3.6 航空機と空飛ぶクルマ」を取り上げる[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)
人類が排出する温室効果ガス(二酸化炭素換算)に占める航空輸送の割合は2018年時点で1.8%とそれほど大きくはない(自動車は18.2%を占める)。ただし航空輸送量の増加によって二酸化炭素排出量は増加を続けてきた。2015年には1990年の約2倍に達している。このため航空機産業でも、温室効果ガスの削減が求められるようになってきた。
飛行機やヘリコプターなどの電動化を扱う
航空機といっても多種多様な機種が存在する。重量で大別すると、大気よりも軽い「軽航空機」と、大気よりも重い「重航空機」に分かれる。別の分類として、動力を備えた「動力あり」の航空機と、動力を持たない「動力なし」の航空機にも分けることができる。
電動化と関連するのは、「動力あり」の重航空機である。ロードマップ本体では、固定翼機である「飛行機」、固定翼と回転翼の両方を備える「複合ヘリコプター(Compound Helicopter)」、回転翼機である「ヘリコプター」と「転換式航空機(Convertiplane)」を取り上げた。
飛行機に関しては離着陸性能の違いによる分類もある。滑走路を利用して離着陸する通常の飛行機は「CTOL(Conventional Take-Off and Landing aircraft(またはplane))機」と呼ばれる。通常の滑走路よりも短い距離(明確な距離の定義はない)で離着陸する飛行機は「STOL(Short Take-Off and Landing aircraft)機」と呼ぶ。さらに、滑走路を必要とせず垂直に離着陸する飛行機は「VTOL(Vertical Take-Off and Landing aircraft)機」と呼ばれる。
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