MediaTek、TSMC 3nmプロセス採用のチップを開発:2024年下半期に量産へ
MediaTekが、TSMCの最先端3nmプロセス技術を使用したチップの開発に成功した。MediaTekのフラグシップSoC(System on Chip)である「Dimensity」として2024年に量産を開始する予定だ。
MediaTekとTSMCは2023年9月7日(台湾時間)、MediaTekがTSMCの最先端3nmプロセス技術を使用したチップの開発に初めて成功したと発表した。MediaTekのフラグシップSoC(System on Chip)である「Dimensity」として2024年に量産を開始する予定だ。
両社は「これはMediaTekとTSMCの長年にわたる戦略的パートナーシップにおける重要な出来事だ。両社はチップ設計と製造におけるそれぞれの強みを最大限に活用し、高性能かつ低消費電力なフラグシップSoCを共同で開発することで、世界中のさまざまなエンドデバイスの進化に貢献する」と述べている。
TSMCの3nmプロセス技術は、現在最先端のプロセス技術。両社は「HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)とモバイルアプリケーションの両方に対する完全なプラットフォームサポートに加え、性能、電力消費、歩留まりを向上させる」と説明。TSMCの5nmプロセス技術である「N5」と比較し、同じ消費電力で18%の性能向上を、同じ性能では32%の消費電力削減を実現。ロジック密度は約60%向上しているという。
TSMCの3nmプロセス技術を採用したMediaTek初のフラグシップチップセットは、2024年下半期からスマホ、タブレット、インテリジェントカー、その他さまざまな機器に搭載される予定だという。
MediaTekのプレジデント、Joe Chen氏は、「当社は、世界最高の技術を活用し、私たちの生活を一変させる最先端の製品を生み出すというビジョンを掲げている。TSMCの安定的で高品質な生産能力のおかげで、MediaTekのフラグシップチップセットにおける優れた設計が完全に生かされる」とコメント。TSMCのアジア・欧州セールスおよび研究開発担当シニアバイスプレジデントであるCliff Hou博士も、「MediaTekとTSMCが、MediaTekのDimensity SoCで協業することは、業界最先端の半導体プロセス技術がポケットの中のスマホのように身近なものになることを意味する」と述べている。
関連記事
- 2022年のTSMC、地域別で最も売上高が伸びたのは日本
TSMCは2023年6月30日、記者説明会を開催し、日本でのビジネス概況などを語った。TSMCジャパン社長の小野寺誠氏は、2022年の日本での売上高が38億米ドルに達したと報告。「地域別で最も売上高が伸びたのは日本」だと述べた。 - TSMCの3nmノード向けインターコネクト技術、Marvell
Marvell Technologyは、TSMCの新しい3nmプロセス適用のD2Dシリコンインターコネクトを開発している。同社は、最大240Tビット/秒(bps)のデータ伝送速度を実現し電力性能やコスト最適化を可能とするこの技術を、データセンターや車載分野向けに提供していく方針だ。 - Arm、モバイル機器向け新プラットフォームを発表
Armは、モバイルコンピューティング向けの最新プラットフォーム「Arm Total Compute ソリューション2023(TCS23)」を発表した。同社が第5世代GPUと位置付ける「Immortalis-G720」などを新たに開発し、より高度なビジュアル体験や次世代のAIアプリケーションを実現する。 - 3nmの増産目指すTSMCの課題と現状
2022年12月29日に、3nmプロセスノードの製造を開始したTSMC。同社は今後、四半期ごとに歩留まりを約5ポイントずつ向上させる予定だという。 - TSMC「3nm」世代の現在地 ―― 電子版2023年3月号
「EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版」の2023年3月号を発行しました。今号のEE Exclusive(電子版限定先行公開記事)は、『TSMC「3nm」世代の現在地』です。 - TSMCがアリゾナ工場投資を3倍強に、3nmノード製造へ
TSMCは、AppleやAMDといった顧客のサポートを受け、米国アリゾナ州での2つの半導体施設に対する総投資額を3倍以上のおよそ400億米ドルに拡大した。2つ目の製造施設では、2026年に3nmノードでの製造が開始される予定だという。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.