Arm、モバイル機器向け新プラットフォームを発表:高性能、高効率の新型GPU開発
Armは、モバイルコンピューティング向けの最新プラットフォーム「Arm Total Compute ソリューション2023(TCS23)」を発表した。同社が第5世代GPUと位置付ける「Immortalis-G720」などを新たに開発し、より高度なビジュアル体験や次世代のAIアプリケーションを実現する。
より高度なビジュアル体験や次世代AIアプリケーション処理を実現
Armは2023年5月29日、モバイルコンピューティング向けの最新プラットフォーム「Arm Total Compute ソリューション2023(TCS23)」を発表した。同社が第5世代GPUと位置付ける「Immortalis-G720」などを開発し、より高度なビジュアル体験や次世代のAIアプリケーション処理を可能にする。
新たに開発した第5世代GPUアーキテクチャは、電力効率が従来に比べ14%向上した。また、グラフィックスパイプラインを再定義し、メモリ帯域幅を40%削減している。最新のグラフィックス機能として、GPUのデータフローを最適化するための「ディファード・バーテックス・シェーディング(DVS)」を採用、コア数やパフォーマンスポイントを拡大できる。特に、G720は前世代の「G-715」に比べ、性能と効率を15%向上させたが、「シリコンエリアへのインパクトはわずか2%の増加で済んだ」という。
TCS23のCPUクラスターとしては、Arm最速コアの「Cortex-X4」や、big(高性能)コアを用いた「Cortex-A720」および、LITTLE(低消費電力)コアを用いた「Cortex-A520」を用意した。
Cortex-X4の性能は、前世代の「Cortex-X3」に比べ15%向上した。消費電力は40%削減できる(同一プロセスで製造した製品の場合)という。なお、性能評価用のCortex-X4は、TSMCの3nmプロセス技術の改良版である「N3Eプロセス」を用い、2023年初めにテープアウト済みだという。
Cortex-A720とCortex-A520の電力効率も、前世代品(Cortex-A715とCortex-A515)に比べ、それぞれ20%および、22%向上している。また、複数コアからなるCPUクラスターを制御するための「DSU-120」は、最大14CPUまで対応できる。
Armは最新のCPUコアやGPUコアに加え、システム開発に不可欠なインターコネクト技術や、AIアプリケーションを始め高速でセキュアなソフトウェア開発を支援するツール群を提供している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 新興企業の設計コンテスト開催へ、賞品は「Arm IP」
Silicon Catalystは、Armの協力を得て世界規模のSoC設計コンテスト「Silicon Startups Contest」を開催する。受賞者には、15万米ドル相当のArm IPクレジットや、Armのスタートアップ向けプログラムへのフルアクセス権が授与されるという。 - 新社長 横山氏が語るアームの国内戦略
英Armの日本法人であるアームは2023年4月21日、同社新社長 横山崇幸氏の就任に伴う記者説明会を実施した。会場では、横山氏が、社長就任のあいさつと今後の日本法人の戦略を説明した。 - Intel 18AでArmベースSoCを製造可能に、両社が協業
Intel Foundry ServicesとArmは2023年4月、Armの顧客が、Intel 18Aプロセス技術で低消費電力SoC(System on Chip)を開発できるようにする複数世代契約を締結したと発表した。 - MediaTek、5Gスマホ向けチップセットを発表
MediaTekは、5G(第5世代移動通信)スマートフォン向けの新たなチップセット「Dimensity 1080」を発表した。200M画素カメラに対応する画像処理機能などを搭載している。 - Arm、最新プロセッサIP「Neoverse V2」を開発
Armは、クラウドやHPCのワークロード用途に向けたプロセッサIP「Neoverse V2」(コード名:Demeter)を開発、Neoverseのロードマップに追加した。 - Arm Neoverse搭載のプロセッサ、製品化進む
Armは、メディアラウンドテーブルを開催し、インフラストラクチャ市場の動向やデータセンター専用プロセッサIP「Neoverse」の最新ロードマップ、「5G Solutions Lab」などの状況について説明した。