ArmがNasdaqに2度目の上場を果たす、2023年最大のIPOに:評価額は650億ドル
ArmのCEO(最高経営責任者)は2023年9月14日(米国時間)、Nasdaqのオープニングベルを鳴らし、2度目の上場を果たした(ティッカーシンボルは「ARM」)。IPO(新規株式公開)価格は、米国預託株式1株当たり51米ドルに設定されたが、終値は63.59米ドルとなり、時価総額は650億米ドルとなった。
ArmのCEO(最高経営責任者)は2023年9月14日(米国時間)、Nasdaqのオープニングベルを鳴らし、2度目の上場を果たした(ティッカーシンボルは「ARM」)。IPO(新規株式公開)価格は、米国預託株式1株当たり51米ドルに設定されたが、終値は63.59米ドルとなり、時価総額は650億米ドルとなった。同社のIPO(新規株式公開)に向けた動きはハイテク業界だけでなく、金融界でも話題となり、2023年最大のIPOとなった。
一方で今回の上場は、「ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンクG)が次にArmをどうするのか」という、現在進行形のストーリーの一部でもある。ソフトバンクGは、ArmをNVIDIAに400億米ドルで売却しようとしたが、これは失敗に終わった。
現在NVIDIAは、Apple、Alphabet、AMD、Intel、Samsung Electronics、TSMCといった他の顧客各社とともに、Armに投資している主要企業の1社である。
33年前に英国ケンブリッジの納屋で創業したArmにとって、Nasdaqへの上場は2度目となる。ソフトバンクGに2016年に買収される前は、1998年から上場していた。
ArmのエグゼクティブバイスプレジデントでCCO(Chief Commercial Officer)を務めるWill Abbey氏は声明で「ArmのAIは、文字通りあらゆる所に使われている。当社のCPUは、既に何十億台ものデバイスにおいてAI(人工知能)/ML(機械学習)のワークロードの処理を担っている。大規模言語モデルや生成AIといった、強力な演算能力を必要とする分野では、Armが注力する低消費電力のアクセラレーション技術がますます重視されるようになるだろう」と語った。
同氏は、自動車分野を含め、今後もパートナーシップを拡大していくと付け加えた。さらに、インフラやデータセンターにおいても成長し続けると語った。「データ需要が増大し、電力制約が厳しくなっているこれらの分野では、消費電力当たりの性能効率で優位性を持つArmプロセッサが最適だ」とAbbey氏は述べる。
「今日、あらゆるものがコンピュータであり、AI時代の到来により、世界のコンピューティングニーズは大きく成長し続けている。これはとてもエキサイティングな未来であり、そして、Armの上に築かれるであろう未来でもある」(同氏)
【翻訳、編集:EE Times Japan】
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