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「半導体産業のハブ」として半世紀、さらなる地位向上を狙うマレーシア米中対立の激化でチャンスが増加(1/2 ページ)

マレーシアは、半世紀にわたり「半導体産業のハブ」としての地位を築いてきた国だ。そのマレーシアで、工場投資が活発になっている。米中対立が激しくなる中、マレーシアには新たなチャンスが訪れている。

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半導体企業として初めて進出したのはIntel

 Intelは1972年、マレーシアの北端に近い貿易拠点であるペナンに5エーカーの組立工場を開設した。この組立工場は1000人近い従業員を雇用し、すぐにIntelの半導体サプライチェーンにとって欠かせないものとなった。さらに1975年には、Intelの組立能力の半分以上を占めるまでに成長した。

Intelは、マレーシアの自由貿易区に進出した最初の半導体企業となった
Intelは、マレーシアの自由貿易区に進出した最初の半導体企業となった[クリックで拡大] 出所:Intel

 程なくしてAMDや日立製作所、HPも後に続き、1980年代初頭には半導体企業14社がマレーシアで事業を展開するようになった。マレーシア・Multimedia Universityに在籍していたことがあるGoh Pek Chen氏が執筆したHarvard Business Schoolの論文によると、全てはマレーシア政府が1972年に最初の自由貿易区を設置したときに始まったという。

 自由貿易区で事業を展開する企業は、輸出入の関税免除や税金の免除、労働組織の管理強化、規制プロセスの合理化などの措置を受けることができた。さらに、自由貿易区は、高速道路や鉄道網に沿って戦略的に配置され、設備の整った港やクアラルンプール国際空港にもアクセスしやすかった。

パワー半導体分野で投資が加速

 2023年に話を進めると、Infineon Technologiesは、MOSFETやIGBTなどのパワー半導体製品を製造するために2006年に建設したマレーシアのクリム工場を大幅に拡張すると発表した。同社はクリム工場に50億ユーロを投資して、世界最大の200mmウエハーSiC(炭化ケイ素)パワー工場を建設するという。クリム工場は、「2030年までにSiC市場シェアの30%を獲得する」という同社の目標にとって極めて重要なものとなる。

 組立工場からSiC半導体ファウンドリーへの道のりは、マレーシアの半導体エコシステムにとって重要なマイルストーンとなる。台湾を拠点とする委託製造企業であるFoxconn Technology Groupも、マレーシアに300mmウエハー工場を建設すると発表している。同工場は、28〜40nm世代のプロセスノードを適用し、月産4万枚のウエハー生産能力を有するものになるという。

 新しいファブの建設の他に、マレーシアの半導体産業の構成についても触れておきたい。マレーシアの半導体産業は、OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)企業、ATE(自動テスト装置)サプライヤーおよび、高性能テストソケットの設計/製造企業という、3つの主要グループで構成されている。

 ドイツのRobert Bosch(以下、Bosch)は最近、ペナンにある1万8000m2のテストセンターに6500万ユーロを投資すると発表した。同テストセンターはクリーンルームとオフィススペース、品質保証と製造のためのラボを備え、ドイツのロイトリンゲン、中国の蘇州、ハンガリーのハトヴァンで製造されたBoschの半導体の最終テストを実施する。

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