コラム
「半導体産業のハブ」として半世紀、さらなる地位向上を狙うマレーシア:米中対立の激化でチャンスが増加(2/2 ページ)
マレーシアは、半世紀にわたり「半導体産業のハブ」としての地位を築いてきた国だ。そのマレーシアで、工場投資が活発になっている。米中対立が激しくなる中、マレーシアには新たなチャンスが訪れている。
世界7位の半導体輸出国
マレーシアは、世界の半導体組立ておよびテスト市場のシェアの13%近くを獲得していて、世界第7位の半導体輸出国でもある。さらに、半導体製造国トップ10に常にランクインしており、英国とオランダの間で7位または8位を維持している。
こうした工場建設に関するニュースは、半導体のバリューチェーンを上昇させるというマレーシアの野心を示唆している。米中の半導体貿易戦争の激化は、半導体産業が既に確立されている国や地域に新たな機会をもたらしている。
マレーシアの半導体エコシステムにおいて半導体工場は特に目新しいものではないが、同国の「チップのバリューチェーンを上げる取り組み」は注目に値する。クリムのSiCパワー半導体工場により、マレーシアの半導体産業は、新たな投資を呼び込むエコシステムがほぼ完成したといえるだろう。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- GaNパワー半導体市場、勢力図の書き換えは進むか
近年、GaNパワー半導体市場において、大手パワー半導体メーカーの参入や大型の買収/投資が目立ってきました。 - 米国の対中規制強化がもたらす、半導体業界への「歓迎できない」影響
米国は2023年10月17日、中国向けの半導体輸出規制強化措置を発表した。アナリストは、今回の新たな措置はNVIDIAやIntelの中国向けGPUなどが対象となる他、中国による国産の代替品確保を加速や報復措置のきっかけとなりうるもので、「決して歓迎されるものではない」と指摘している。 - Infineon、20億ユーロでSiC/GaN半導体新工場を建設
Infineon Technologiesは2022年2月17日(ドイツ時間)、20億ユーロ(約2600億円)以上を投じてマレーシアのクリムにある拠点にSiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)半導体のフロントエンドの新工場を建設する、と発表した。同社は、この新工場の稼働によって、「SiC、GaNベースの製品で新たに年間20億ユーロの売り上げ増が可能になる」としている。 - パワー半導体向け堅調で高水準の出荷維持、ディスコ
ディスコの2023年度第2四半期(7〜9月期)売上高は前四半期比34.0%増の722億円、営業利益は同65.2%増の280億円、純利益は同57.9%増の200億円だった。世界的なEVシフトや脱炭素化の進展を背景としたパワー半導体向けで強い需要が継続、市場動向と連動性が高い出荷額は794億円と高水準を維持している。 - 縦型GaNパワー半導体のブレークスルーに、新技術の詳細と展望
省エネ化/低炭素社会のキーデバイスとして注目されるGaN(窒化ガリウム)を用いたパワー半導体。OKIと信越化学工業のタッグが、その本格的な普及のための課題解決につながる新技術を開発した。同技術の詳細や開発の経緯、今後の展望を聞いた。 - 200mmファブの生産能力、2026年までに過去最高へ
SEMIは、全世界の200mmファブ生産能力が2026年までに月産770万枚規模となり、過去最高を更新するとの予測を発表した。