Infineon、マレーシアに200mmウエハーSiC工場新設へ:5年で最大50億ユーロ追加投資
Infineon Technologiesは、マレーシア・クリム拠点への投資を大幅に拡大し、「世界最大」(同社)の200mmウエハーSiC工場を新設する計画を発表した。今後5年で最大50億ユーロの追加投資を行う予定だ。
Infineon Technologies(以下、Infineon)は2023年8月3日(ドイツ時間)、マレーシアに200mmウエハーSiC(炭化ケイ素)工場を新設する計画を発表した。今後5年で最大50億ユーロの追加投資を行う予定だ。
Infineonは2022年2月、クリム拠点に20億ユーロを投じ、第3製造棟としてSiC/GaN半導体の前工程工場を建設すると発表。2024年の生産開始に向けて既に着工している。今回の発表は、この計画を大幅に拡張するもので、今後5年間で、第3製造棟建設の第2段階としてさらに最大50億ユーロを追加投資する計画。完成すれば、「世界最大」(同社)の200mmウエハーSiCパワー半導体工場となる予定だという。なお、Infineonは既存および新規顧客から、車載および産業用アプリケーションにおける約50億ユーロの新規デザインウィンおよび、約10億ユーロの前払いを獲得しているという。
InfineonはSiC製品の生産を現在オーストリアのフィラッハ拠点で行っている。同社はクリム拠点での能力拡張およびフィラッハ工場の200mm SiCウエハーへの転換によって、「この10年の終わりまでに、SiCによる売上高を年間70億ユーロに拡大する見込み」としている。
Infineonは新規デザインウィンおよび前払いの概要についても説明。車載部門の顧客には、Ford Motor Companyや上海汽車集団、奇瑞汽車などの自動車メーカー6社(うち中国企業は3社)が含まれている。再生可能エネルギー分野では、SolarEdgeや中国の太陽光発電/蓄電システム大手の3社が顧客となっているという。また、Infineonは、Schneider ElectricとSiCベースの製品に関し、前払いを含む生産能力確保について合意したことも明かした。
InfineonのCEO(最高経営責任者)、Jochen Hanebeck氏は、「クリムの拡張によって、当社はSiC市場におけるリーダーとしての地位を確保することになる。Infineonは、業界をリードする規模と独自の価格優位性とともに、クラス最高のSiCトレンチ技術、幅広いパッケージポートフォリオ、比類のないアプリケーションへの理解という競争上の優位性を生かしている」とコメントしている。
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