村田製作所の23年度上期は減収減益、スマホ向け需要減などで:需要低迷は底打つも「強い回復力感じない」(2/2 ページ)
村田製作所は、2024年3月期(2023年度)中間決算の説明会を行った。2023年度上半期の売上高は前年同期比11.9%減の8104億円、営業利益は同30.7%減の1389億円、純利益は同22.6%減の1252億円だった。
通期予想は営業利益を上方修正、円安の影響受け
2023年度通期の業績予想については、売上高は下方修正、営業利益は上方修正した。売上高は期初(2023年4月時点)の予想から1.2%減の1兆6200億円とした。円安の影響で樹脂多層基板(メトロサーク)や高周波モジュールでは増加を予測するものの、コンピュータ市場の回復遅れや景況感の悪化でコンデンサーの需要減を見込むほか、パワーツール向けリチウムイオン二次電池でも減少するとみている。一方、営業利益は同22.7%増の2700億円に修正した。南出氏は「営業利益の上方修正は、主に為替の影響によるものだ。固定費の削減や収益性の改善も進めている」と説明している。
需要低迷は底を打つも「強い回復力は感じていない」
事業環境認識については、2023年10月時点では「全般的に部品需要は下振れていて、特にパワーツール市場やPC周辺機器市場で需要回復が遅れている。モビリティ向けでも値下げ圧力が高まっている」(南出氏)とした。一方、材料価格やエネルギー価格は、期初の想定よりも若干減少しているという。
村田製作所は、部品を搭載するスマホやPC、自動車の需要予測も実施している。2023年度は、スマートフォンは前年度から3%の微増になると予測。需要が低迷する中、ミドルレンジ/ローエンド端末の比率が上昇する見通しだという。PCは需要回復ペースが緩やかなことから、2022年度実績よりも減少すると見込む。自動車は、2022年度実績比で7%増加すると見込む。特にxEV(電動車)は同30%増加になると予測している。
村田製作所社長の中島規巨氏は、足元の市況について「エレクトロニクス業界全体の需要低迷は底を打ったと感じているが、力強い回復力は感じていないのが実情だ」と言及。「今後はIoT(モノのインターネット)機器やウェアラブル機器に関する需要の成長に期待し、製品の準備を進めている」と述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 脳の錯覚でゲーム機に革新、重さまで伝わるハプティクス技術
村田製作所は「CEATEC 2023」に出展し、ゲーム機などに利用できるハプティクスデバイスや、生産/流通管理に利用できる透明IDタグを展示した。 - 厚さ0.18mmの「極薄」積層セラコン、プロセッサ裏面への実装も可能に
村田製作所は、小型で薄型の自動車向けLW逆転低ESLチップ積層セラミックコンデンサー「LLC15SD70E105ME01」を開発、量産を始めた。外形寸法は0.5×1.0mm、厚みは最大0.18mmで、1.0μFの容量を実現している。 - 村田製作所ら、チタン酸バリウム製造の新会社を設立
村田製作所、石原産業および富士チタン工業は、共同出資により、チタン酸バリウムの製造と販売を行う新会社「MFマテリアル」を設立した。2027年には、新工場の稼働を予定している。 - 村田製作所の23年度1Qは減収減益、スマホ需要減響く
村田製作所の2023年度第1四半期業績は、売上高が前年同期比15.8%減の3677億円、営業利益は同44.8%減の501億円で減収減益となった。スマートフォンやPC向けの需要減が響いた。 - 村田製作所、2022年度業績は減収減益
村田製作所は、2023年3月期(2022年度)の決算を発表した。売上高は前年比6.9%減の1兆6868億円、営業利益は同29.8%減の2979億円で、減収減益となった。