TOPPANがJOLEDの工場を買収、次世代半導体パッケージ開発/量産へ:FC-BGAの生産能力を増強
TOPPANが、2023年3月末に経営破綻したJOLEDの能美事業所(石川県能美市)を買収した。次世代半導体パッケージの開発/量産ラインを構築する予定で、2027年以降の稼働を目指す。
TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPANは2023年12月5日、同年3月末に経営破綻したJOLEDの能美事業所(石川県能美市)を買収したと発表した。次世代半導体パッケージの開発/量産ラインを構築する予定で、2027年以降の稼働を目指す。
2023年11月28日、TOPPANがJOLEDと能美事業所の土地/建屋の売買契約を締結した。TOPPANは同事業所において、主にデータセンターのサーバ向けや生成AI(人工知能)向けの需要増などで伸長を期待する高密度半導体パッケージ「FC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)」のさらなる高速伝送やチップレットに対応する次世代技術開発および、量産ラインの構築を行う予定としている。
TOPPANは、FC-BGAを生産する新潟工場(新潟県新発田市)の生産能力を2025年度までに2022年度比で倍増させる計画を立てているが、「旺盛な需要に対して将来的には新潟工場のみでは拡張余地がなく、新たな生産拠点の確保を検討していた」と説明。能美事業所が、次世代半導体パッケージの製造工程に求められる条件を満たしていると判断し、売買契約の締結に至ったという。同社は、将来的に新潟工場と同等レベルの生産量を目指す考えだ。
能美事業所は、敷地面積は9万9612m2、建物面積は10万683m2。JOLEDの主力工場として、2019年には世界初の印刷方式有機ELディスプレイ量産ラインの稼働を開始し、ハイエンドモニター、医療用モニター、車載など向けに生産していた。TOPPANは、同事業所の設備の一部はFC-BGAの生産や開発に流用できるとしている。
なお、同事業所では、TOPPANが手掛ける既存のエレクトロニクス製品の生産も検討している。また、デジタルツイン、FA(ファクトリーオートメーション)およびAI技術を活用し、省人化および生産効率の高い量産ラインを持つ最新鋭の工場として、スムーズな立ち上げを目指すとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 凸版印刷、パワー半導体の製造代行事業に参入
凸版印刷は2023年4月、パワー半導体向けの受託製造ハンドリングサービスを提供開始した。JSファンダリと協業し、2027年度には関連受注を含め、30億円の売り上げを目指すとしている。 - 「平行」に浮き上がる、12型の空中タッチディスプレイ
凸版印刷は、「第15回 オートモーティブ ワールド」(2023年1月25日〜27日、東京ビッグサイト)に出展し、“平行”に浮き上がる非接触タッチパネルの12型品や、遮光特性を持つ車載用の黒色調光フィルムを展示した。 - JOLEDが民事再生手続き開始、製造/販売から撤退
JOLEDは2023年3月27日、東京地方裁判所に民事再生手続き開始の申し立てを行ったと発表した。同社は、ジャパンディスプレイと、有機ELディスプレイの技術開発事業の再生支援に関する基本合意書を締結した。一方で、製造/販売事業からは撤退するという。 - JOLED、印刷方式で有機ELディスプレイを量産
JOLEDは、千葉事業所(千葉県茂原市)の量産ラインで製造した有機ELディスプレイ「OLEDIO」の出荷を始めた。同社によれば、印刷方式による有機ELディスプレイの量産は世界でも初めてという。 - JOLEDが石川に印刷有機EL量産工場、2020年稼働へ
JOLEDは2018年6月26日、印刷方式の有機ELディスプレイパネルの量産拠点として2018年7月1日付で「JOLED能美事業所」(石川県能美市)を開設し、2020年から稼働させる予定だと発表した。 - JOLED、印刷方式の有機ELパネルを出荷開始
JOLEDが、RGB印刷方式で製造した21.6型4K有機ELパネルを製品化し、出荷を開始した。最初の製品はソニーの医療関連事業に納品されたという。JOLEDは、韓国勢が採用する蒸着方式では製造が難しい、中型パネル領域を狙う。