ニュース
JOLED、印刷方式で有機ELディスプレイを量産:10〜32型の中型領域で製品展開
JOLEDは、千葉事業所(千葉県茂原市)の量産ラインで製造した有機ELディスプレイ「OLEDIO」の出荷を始めた。同社によれば、印刷方式による有機ELディスプレイの量産は世界でも初めてという。
「OLEDIO」ブランドで車載用や医療用などに提案
JOLEDは2021年3月、千葉事業所(千葉県茂原市)の量産ラインで製造した有機ELディスプレイ「OLEDIO」の出荷を始めた。同社によれば、印刷方式による有機ELディスプレイの量産は世界でも初めてという。
有機ELディスプレイは、高いコントラストが得られ、色再現性や応答性に優れるなど、自発光型ディスプレイならではの特長を持つ。OLEDIOは、印刷方式でRGBの有機EL材料を塗布して発光層を形成する、独自の「TRIPRINT」技術を用いて製造する。
印刷方式による製造は、既存の蒸着方式に比べ高い技術力を必要とするが、生産工程はシンプルで生産効率に優れている。また、蒸着方式に比べ中型から大型サイズの製造に適した方式だという。
JOLEDは、印刷方式による製造に特化し、研究開発を進めてきた。2017年にパイロットラインで生産をはじめた。2019年には量産ラインが稼働し、サンプル品の試作に取り組んできた。そして今回、10〜32型の中型サイズで、高い性能と品質を実現した有機ELディスプレイの量産出荷を始めた。ハイエンドモニターや医療用モニター、車載用ディスプレイといった用途に向ける。
JOLEDの社長を務める石橋義氏は、「高性能で高品質の有機ELディスプレイを画期的な印刷方式で製造し、有機EL市場の中型領域に革新を起こしていく」とコメントした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- JOLED、千葉事業所に後工程量産ライン構築を開始
JOLEDは2019年4月8日、印刷方式による有機ELディスプレイの後工程量産ラインの構築をJOLED千葉事業所(千葉県茂原市)で開始したと発表した。同ラインの構築は、INCJおよび、ソニー、NISSHAを引受先とする第三者割当増資で調達した255億円の一部を充てるという。 - 機能性高分子フィルム、スマホなどが需要をけん引
富士キメラ総研は、主要分野ごとにエレクトロニクス関連の機能性高分子フィルムの市場を調査。2024年の市場規模として、電子回路基板などに用いられる実装向けは4723億円、LCD/OLED向けは7681億円、半導体向けは563億円と予測した。 - 三井化学とKOALA、OSLD向け有機色素を共同で開発
三井化学は、KOALA Techと有機半導体レーザーデバイス向け有機色素の共同研究を始める。生体認証などの用途でスマートフォンやウェアラブル機器への実装を目指す。 - 九州大と関学大、高性能青色有機EL素子を開発
九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センターと関西学院大学の共同研究グループは、高い発光効率と色純度、素子耐久性を併せ持つ青色有機EL素子の開発に成功した。 - DNP、有機EL向けブルーシフト改善フィルムを開発
大日本印刷(DNP)は、有機ELディスプレイの画面を斜めから見た時に生じる青みを改善する光学フィルム「ブルーシフト改善フィルム」を開発した。 - スマホディスプレイ、LCDからOLEDへの移行が加速
タッチディスプレイは常にスマートフォン体験の中心になるもので、画面の使用時間は通話時間やデータ消費量よりも重要なユーザー測定基準になっている。多くの人にとってスマートフォンのディスプレイはデジタル世界への“主要な窓口”であるため、ディスプレイの品質(視覚的な品質とタッチ体験の両方)がスマートフォンの価値の中核であるのはもっともなことだ。