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光ファイバーで毎秒301テラビットの伝送容量を達成E帯向け光増幅器と光強度調整器開発

情報通信研究機構(NICT)を中心とする国際共同研究グループは、既存の光ファイバーを用い、毎秒301テラビットの伝送実験に成功した。光ファイバーの新しい波長領域を活用するための「光増幅器」と「光強度調整器」を新たに開発し、既存の光ファイバーでは世界最大となる伝送容量を実現した。

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27.8THzという周波数帯域幅と、合計1097波長を用いて実現

 情報通信研究機構(NICT)フォトニックネットワーク研究室を中心とする国際共同研究グループは2023年11月、既存の光ファイバーを用い、毎秒301テラビットの伝送実験に成功したと発表した。光ファイバーの新しい波長領域を活用するための「光増幅器」と「光強度調整器」を新たに開発し、既存の光ファイバーでは世界最大となる伝送容量を実現した。

マルチバンド波長多重光ファイバー伝送イメージ
マルチバンド波長多重光ファイバー伝送イメージ[クリックで拡大] 出所:NICT

 光ファイバーを用いた伝送システムでは、通信容量を増やす方法として、使用できる波長領域を拡大する「マルチバンド波長多重技術」の研究が進められている。NICTではこれまで、希土類添加光ファイバーを用いた増幅器とラマン増幅の増幅方式を活用して、C帯やL帯、S帯を使った光ファイバー伝送システムを実現してきた。

 国際共同研究グループは今回、E帯向けビスマス添加ファイバー光増幅器と光強度調整器を新たに作製。世界最大の波長領域を持つ光ファイバー伝送システムの開発に成功した。開発した伝送システムは、光ファイバーと複数の光増幅器(ビスマス添加光ファイバー増幅器、ツリウム添加光ファイバー増幅器、エルビウム添加光ファイバー増幅器、ラマン増幅)、送受信器、光強度調整器、合波器/分波器などで構成される。

 具体的には、E帯やS帯、C帯、L帯を合わせ27.8THzという周波数帯域幅(212nmの波長幅)と、合計1097波長(E帯:315波、S帯:315波、C帯:200波、L帯:267波)を用い、毎秒301テラビットの波長多重信号を、50km長の光ファイバーで伝送することに成功した。信号の変調は、E帯に偏波多重64QAMを、S帯やC帯、L帯には256QAMをそれぞれ用いた。従来に比べ、伝送容量は23%の増加、周波数帯域幅は41%増加したという。

伝送システムの概略図
伝送システムの概略図[クリックで拡大] 出所:NICT
実験結果(誤り訂正を適用した後の波長別データレート)
実験結果(誤り訂正を適用した後の波長別データレート)[クリックで拡大] 出所:NICT

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