「半導体業界で世界のハブになる」東北大総長 大野英男氏:国際卓越研究大学の認定候補に選定(2/3 ページ)
東北大学は2023年9月、「国際卓越研究大学」の認定候補に選定された。今回、東北大学の総長を務め、スピントロニクス半導体研究の第一人者でもある大野英男氏に、21世紀の研究大学のあるべき姿や、半導体業界発展のために必要な取り組みについて聞いた。
バイデン大統領とも面会、「半導体業界で世界のハブになる」
――2023年10月に、台湾の半導体ファウンドリー大手Powerchip Semiconductor Manufacturing Corporation(PSMC)が東北に工場を建設すると発表しました。東北には、他にもさまざまな半導体企業が集まっていますが、各企業と産学連携の話はされているのでしょうか。
大野氏 東北大学は「半導体業界で世界のハブになる」という気持ちで、さまざまな半導体関連企業と産学連携の話をしている。
東北には、キオクシア(岩手県北上市)や東京エレクトロン(岩手県奥州市)、ソニー(山形県鶴岡市)に加え、先日発表されたPSMC(仙台市)など複数の半導体関連企業の拠点があり、中には、既にわれわれ(東北大学)と共同研究をしている企業もある。また、Rapidus会長の東哲郎氏や、同社社長の小池淳義氏、北海道大学総長の寳金清博氏とは、定期的に情報交換をする仲だ。
一般的に、産学連携というと、企業と大学が研究開発を共同で行うイメージを持つと思う。しかし、これからの産学連携は、ジョイントベンチャーを立ち上げるなど、事業につなげ、発展させる形で、価値創造にも寄与することも必要であると考えている。
東北大学では、各種の取り組みを進めてその価値を社会に認めてもらうことにより、25年後に産学連携の規模を1000億円程度にすることを計画している。企業の内部留保は500兆円といわれているので、産学連携の新たなサイクルが動き始め、その中で大学の知の価値を示すことができれば、内部留保のうち1000億円を動かせてもいいのではないか。世界では、創薬などで大学の知が活用されている例が既にある。
――G7広島サミットの最終日(2023年5月21日)には、ジョー・バイデン米国大統領とも面会されましたが、どのようなお話をされたのでしょうか。
大野氏 バイデン大統領とは、「半導体は、日米両国にとって重要な産業だ」という考えで一致した。大統領が自ら「この機会に日米の半導体チームを作って、一緒に取り組もう」という強いメッセージを発信したことが印象的で、心強く感じた。日米両国がしっかりと戦略性を持って連携していくことが大切だと考えている。
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