2024年の半導体市場、本格回復はメモリ次第 〜HBMの需要増で勢力図も変わる?:湯之上隆のナノフォーカス(69)(4/5 ページ)
半導体市場の本格的な回復が予想されている2024年。鍵を握るのがメモリだ。本稿では、DRAM/NAND型フラッシュメモリの価格推移と企業別売上高の動向から、半導体市場の回復基調の時期を探る。さらに、そこから読み取れる、メモリメーカーの“栄枯盛衰”を示す。
NANDの企業別の四半期売上高
図8に、NANDの企業別の四半期売上高を示す。このグラフを見て、やはり筆者は「うわあ!」と叫んでしまった。2022年Q2以降、全てのNANDメーカーの売上高が急降下する。そして多くのNANDメーカーが2023年Q1で底を打っている。それにもかかわらず、キオクシアだけが売上高の減少が止まらないのである。
2023年Q1からQ3にかけて、売上高1位のSamsungは横ばいである。また、米Intelの大連工場を買収した2位のSKグループはNANDでも売上高を伸ばしている。加えて、米WD(Western Digital)もわずかに売上高を伸ばして3位になった。ところが、売上高の低下が止まらないキオクシアは、SKグループにもWDにも抜かれて4位に転落してしまった。Micronもあまり売上高を増やせていないが、もし、Micronが伸びてきたら、キオクシアの順位がさらに下がることになる。
図9に示す、NANDの売上高シェアで見ても、キオクシアの苦境は明らかである。2023年Q3のシェアは、高い方から、1位がSamsung(31.4%)、2位がSKグループ(20.2%)、3位がWD(16.9%)、4位がキオクシア(14.5%)、5位がMicron(12.5%)となっている。
キオクシアのシェア14.5%というのは過去最低であり、今後もシェアを回復できるかどうか分からない。というのは、WDとの経営統合に失敗したキオクシアは財務状況が悪化しており、半導体製造装置メーカーに、「支払いを2年ずらせないか」と懇願したという記事が出回っているほどだからだ(日経新聞2023年12月20日)。
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