ルネサスの23年度通期、減収も純利益は前年比14.7%増 堅調な自動車が下支え:産業向けは調整局面が想定以上に長引く(1/3 ページ)
ルネサス エレクトロニクスの2023年12月期(2023年度)通期の連結業績(Non-GAAPベース)は、減収で営業減益だった。自動車向けは堅調だったものの、産業およびマスマーケットの調整局面の継続が響いた。一方で、純利益は前年比14.7%増となる4329億円となった。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2024年2月8日、2023年12月期(2023年度)通期の業績(Non-GAAPベース)を発表した。売上高は前年比2.2%減となる1兆4697億円、営業利益は同577億円減の5016億円だった。一方で、当期純利益は同556億円増(14.7%増)の4329億円となった。
売上総利益率は、産業・インフラ・IoT(モノのインターネット)向け事業の売上高減少と、それに伴う製品ミックスの悪化などにより、前年比0.5ポイント減となる57%。営業利益率は、IGBTやSiC(炭化ケイ素)などパワー半導体を中心とした研究開発費の増加や、インフレによるコスト増により同3.1ポイント減となる34.1%だった。
ルネサス社長兼CEO(最高経営責任者)の柴田英利氏は、「産業・インフラ・IoT向け事業では、産業およびマスマーケットでの調整局面が当初の予想よりも長引き、前年比でマイナスとなったものの、自動車向け事業が堅調で全体の売り上げを強く下支えした」と総括する。
事業分野(セグメント)別に見ると、自動車向け事業はADAS(先進運転支援システム)やxEV(電動車)向けが好調で、売上高は前年比7.8%増となる6950億円、営業利益は同195億円増の2387億円だった。一方で、産業・インフラ・IoT向け事業は売上高が同9.6%減となる7647億円、営業利益は同727億円減の2590億円となった。
2023年度第4四半期(10〜12月期)の業績(Non-GAAPベース)は、売上高が3619億円(前年同期比7.5%減)、営業利益が1155億円(同202億円減)、純利益が892億円(同111億円減)。自動車向け事業は前年同期比で6.8%増となる1811億円と好調な一方で、産業・インフラ・IoT向け事業は同18.4%減の1787億円だった。
産業・インフラ・IoT向けは2024年度第2四半期から回復基調
2024年12月期(2024年度)第1四半期の業績見通し(Non-GAAPベース)は、売上高は前年同期比4.1%減、前四半期比4.7%減となる3450億円(±75億円)、売上総利益率は前年同期比1.2ポイント減、前四半期比1.4ポイント減となる55%、営業利益率は前年同期比4.7ポイント減、前四半期比1.9ポイント減となる30%と予想した。
事業部別では、自動車事業は前四半期(2023年度第4四半期)と同等レベルになると予想する。「EV(電気自動車)に対する“向かい風”や、中国市場での競争激化などの環境の変化はあるものの、全体的には堅調だとみている。産業・インフラ・IoT事業は、産業とマスマーケットの調整局面が継続し、2024年度第1〜第2四半期を底として、それ以降、回復基調に乗ると想定している」(柴田氏)。産業・インフラ・IoTの中でもデータセンター/AI(人工知能)については、メモリインタフェースやパワー関連の製品で強い需要があるという。柴田氏は、「ルネサス全体の売上高で占める割合は2〜3%程度と小さいが、製品の投入と生産のキャッチアップがうまくいけば、産業・インフラ・IoTの売り上げを強く下支えしてくれるセグメントになるのではないか」と期待を語った。
なおルネサスは2024年1月1日付で組織を変更。これまで車載/非車載で分けていた事業本部を、プロダクトベースの4つの事業部に組織を再編した。これに伴い、2024年度からはセグメントにおける売り上げ計上の方法を変更する。同年度第1四半期の業績から適用される見込みだ。
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