NVIDIAもIntelも……チップ開発で進む「シリコン流用の戦略」を読み解く:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(80)(3/4 ページ)
プロセッサでは、半導体製造プロセスの微細化に伴い、開発コストが増大している。そこで半導体メーカー各社が取り入れているのが、「シリコンの流用」だ。同じシリコンの個数や動作周波数を変えることで、ローエンドからハイエンドまでラインアップを増やしているのである。
SUPERシリーズのシリコンを開封
表4はRTX 4070 Ti SUPER、RTX 4080、RTX 4080 SUPERのシリコン開封の様子である。3機種ともに同じシリコンとなっている。顕微鏡でしか見られないが、シリコン上の配線層で書かれた型名も3シリコンともに同じものだ。NVIDIAのシリコンネーミングはベースシリコンの後にハイフン数字となっており、数字が大きいほどコア数が多い。2022年に発売されたRTX 4080は300番なので、シリコン上の全機能が動作しておらず、その後の製造改善(あるいは計画的に)などによって全機能が動作できるものを、2024年RTX 4080 SUPERとして400番台で発売したものと思われる。
10機種のGPUに対してシリコン種は4つ
図2はNVIDIA RTX40シリーズの全10機種の発売時期とコア数、シリコンの種類をまとめたものだ。数字や文字が多く読みにくいものになっているが、10機種に対してシリコン種が4つ。4つのシリコンを、定義を変えて使い分けているわけだ。これはNVIDIAの例に過ぎないが、半導体メーカーはシリコン種をむやみに増やさず(開発コスト、テストコスト、製造管理を増やさないため)同じシリコンを流用、再利用することで品種を増やすことが最重要事項の一つになっている。こうした製品仕様の展開は古くからの手法であるが、微細化や高度パッケージで費用がかさむ現在は新シリコンを作るよりも、いかに同じシリコンから製品を多品種していくかが、半導体メーカーの腕の見せ所になっている!
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