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NVIDIAもIntelも……チップ開発で進む「シリコン流用の戦略」を読み解くこの10年で起こったこと、次の10年で起こること(80)(4/4 ページ)

プロセッサでは、半導体製造プロセスの微細化に伴い、開発コストが増大している。そこで半導体メーカー各社が取り入れているのが、「シリコンの流用」だ。同じシリコンの個数や動作周波数を変えることで、ローエンドからハイエンドまでラインアップを増やしているのである。

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Qualcomm、MediaTek、AMDもシリコンを流用

 表5は、Qualcommの例だ。2022年のハイエンドスマートフォンに採用された「Snapdragon 8+ Gen1」は、2023年には若干定義を変えて、「Snapdragon 7+ Gen 2」として再利用されている。さらにスマートフォンで採用されたチップは温度特性やパッケージ形状を変えて、車載向けや産業向け製品として再利用されている(ネーミングやシリーズも変えられるが中身のシリコンは同じものも多い)

表5 Qualcommの「Snapdragon」の比較
表5 Qualcommの「Snapdragon」の比較[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 表6にMediaTekの例を示す。ミドルハイ仕様の「Dimensity 8100」と「Dimensity 8200」の内部シリコンは同じものだ。CPUとGPUの動作周波数に差があるだけである。しかしネーミングを変えることで新規性があるので、製品宣伝などに新プロセッサ採用とアナウンスされている。

表6 MediaTekの「Dimensity」の比較
表6 MediaTekの「Dimensity」の比較[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 表7にAMDの例を示す。AMDは同じシリコンの個数を変えてスーパーハイエンドから普及価格帯のPCまで対応できるラインアップを、チップレットで作り上げている。シリコン種を最小に抑え、製品種を最大化する。今後の半導体はこうした作り方が今まで以上に増えるだろう。微細化で開発コストが増加する一方だからだ。

表7 AMDの「EPYC」「Ryzen」の比較
表7 AMDの「EPYC」「Ryzen」の比較[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

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執筆:株式会社テカナリエ

 “Technology” “analyze” “everything“を組み合わせた造語を会社名とする。あらゆるものを分解してシステム構造やトレンドなどを解説するテカナリエレポートを毎週2レポート発行する。会社メンバーは長年にわたる半導体の開発・設計を経験に持ち、マーケット活動なども豊富。チップの解説から設計コンサルタントまでを行う。

 百聞は一見にしかずをモットーに年間300製品を分解、データに基づいた市場理解を推し進めている。


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