シリコンウエハー大手Siltronic、150mmまでの小口径ウエハー生産から撤退へ:市場の構造変化で「回復見込めず」
シリコンウエハー大手のドイツSiltronicが最大150mmまでの小口径ウエハーの生産を終了する。小口径のポリッシュドおよびエピタキシャルウエハーについて順次生産を終了していき、2025年中に撤退を完了する予定だ。
シリコンウエハー大手のドイツSiltronicは2024年3月22日(ドイツ時間)、最大150mmまでの小口径ウエハーの生産を段階的に終了すると発表した。ドイツ・ブルクハウゼン拠点で手掛けてきた小口径のポリッシュドおよびエピタキシャルウエハーについて順次生産を終了していき、2025年中に撤退を完了する予定だ。
小口径ウエハー「ライフサイクルの終わりが近い」
Siltronicは現在300mmおよび200mmウエハーの他、最大150mmまでの小口径ウエハーを生産している。同社は1968年からブルグハウゼン拠点で小口径ウエハーの生産を行ってきたというが、同社のCEO(最高経営責任者)Michael Heckmeier氏は「ウエハー産業は構造変化と技術革新によって大きく進化している。需要はますます大口径かつ特性の改善されたウエハーにシフトしている。一方、小口径ウエハーはライフサイクルの終わりに近づいている」と説明している。
同社によると、25年前までシリコンウエハー市場の大半が150mmまでのウエハーだったというが、現在ではその割合は5%未満(SEMIのデータによる)になっているという。Siltronicは、「これは、半導体業界の活発な技術開発によって、顧客が小口径ウエハーの生産を縮小または終了した結果だ。加えて、特に中国との競争が小口径ウエハーで明確に顕在化している」と述べている。
Siltronicでは、300mmウエハーが今後年平均6%の成長を見せると予想している。一方、小口径ウエハーは2023年度の同社業績において売上高全体に占める割合が一桁台となったほか、直近数カ月の業績を見ても「明らかにマイナスになっている」という。この傾向は今後数年でさらに強まることが予想されているといい、同社のCFO(最高財務責任者)であるClaudia Schmitt氏は、「市場の構造的な変化によって小口径ウエハーの回復は見込めず、今後数年間は収益への影響が大きくマイナスになると想定している。そのためわれわれはこの苦渋の決断を下した」と撤退を決定した理由を語っている。
同社によると、今回の決定によって400人の雇用に影響があるという。なお、ブルクハウゼン拠点は主要な研究開発機能および管理機能を有する他、今後も300mmウエハーおよび200mm超高純度シリコンインゴットの生産を行う予定であり、「Siltronicとって極めて重要な拠点であることに変わりはない」としている。
Siltronicはドイツに本社を置くシリコンウエハーの大手サプライヤー。2020年には競合の台湾GlobalWafersがSiltronic買収を発表して話題となった。なお、この計画は2022年2月、ドイツ政府から認可が得られなかったことから不成立となった。
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