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半導体の好況は「NVIDIAのGPU祭り」による錯覚? 本格回復は2025年以降か湯之上隆のナノフォーカス(71)(3/4 ページ)

半導体の世界市場は2023年に底を打ち、2024年には本格的な回復基調に乗ると見られていた。だが、どうもそうではないようだ。本稿では、半導体の市況が回復しているように“見える”理由を分析するとともに、TSMCなどのファウンドリーの稼働状況から、本当の市場回復が2025年にずれ込む可能性があることを指摘する。

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各種電子機器の出荷台数の前年成長率

 図6に、2022年、2023年、2024年における各種電子機器の出荷台数の前年成長率を示す。この中で、Logicを含む半導体市況に大きな影響がある電子機器は、スマホ、サーバ、PC(Notebook)である。ところが、この3種類の機器の出荷台数は冴えない成長率となっている。

図6:各種電子機器の出荷台数の前年成長率(2022年〜2024年)
図6:各種電子機器の出荷台数の前年成長率(2022年〜2024年)[クリックで拡大] 出所:Joanna Chiao(TrendForce)、「TSMCの世界戦略と2024年半導体ファウンドリ市場の展望」(TreendForce産業フォーカス情報、2023年12月14日)のスライド

 スマホは、2022年にマイナス10.6%、2023年にマイナス2.7%、2024年はプラスに転じるがわずか3.0%の成長である。サーバは、2022年にプラス4.7%だったが、2023年にマイナス6.0%となり、2024年は再びプラスに回復するがわずか2.5%である。Notebookは、2022年にマイナス24.5%に大きく落ち込み、2023年もマイナス10.2%で、2024年にやっとプラス3.2%に回復する予測だ。

 この3種類以外も、2024年の成長率は、Tabletがマイナス0.1%、TVがプラス0.3%、Monitorがプラス1.5%と冴えない数字が並んでいる。

 そのような中で、AIサーバと電気自動車(EV)の成長率の高さが目を引く。特に、AIサーバは、2022年がゼロであるが、2023年にプラス36.9%、2024年に44.2%と急成長していることが伺える。このAIサーバには、AI半導体が使われる。そして、そのAI半導体の80%以上を占めているのがNVIDIAのGPUである。

Logicの出荷額と出荷個数の乖離の原因

 NVIDIAのGPUの中でも、現在最も高性能である「H100」が引っ張りだことなっており、1個500〜600万円というべら棒な高値で取引されている。これが、Logicの出荷額が過去最高を更新している原因であると考えられる。

 しかし、図6で見た通り、AIサーバとEVを除けば、多くの電子機器の成長率が非常に低調であるため、これらに使われるLogicの出荷個数が低水準になるわけだ。その結果、そのLogicを生産する主なファウンドリーの稼働率も低迷することになるのである。

 では、NVIDIAのGPUなどのAI半導体が、今後、どのくらい出荷されるだろうか? それによって、世界のLogicの出荷個数がどのくらい増大すると予想されるだろうか? つまり、AI半導体は、市況回復の救世主となるだろうか?

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