NTTが大規模言語モデル「tsuzumi」を提供開始、既に500社/団体が興味:2027年に1000億円の売り上げを目指す(2/2 ページ)
NTTは2024年3月25日、同社が独自開発した大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」の商用提供を開始した。まずはパラメーターサイズが70億のモデルを活用するサービスから提供を開始する。既に約500社/団体から案件ベースでの相談を受けているという。
製造業を中心に、引き合いは既に500社
NTT社長の島田明氏は、tsuzumiについて既に500以上の企業や団体から問い合わせがあるとし、「想定以上の反響で忙しく、うれしい悲鳴を上げている状況だ」と述べた。問い合わせをしてきた企業/団体の内訳については「海外からの数十件を除き、ほとんどが国内企業/団体で、8割が大企業だ」と語った。
業種別では、製造業が最多で、自治体や金融と続く。利用用途は、製造業関連では議事録作成の他、工場や開発工程での活用に関する案件相談が多く、全体では「CX・顧客対応改善」や「EX・社内業務改善」に関するものが多いという。
導入費用については「個社の要求に合わせてソリューションベースで提供するため、案件次第だ」としつつ、「『GPT-4』を活用する場合よりもROI(投資利益率)が高くなるように価格を設定している」と説明した。販売目標については、2027年に売り上げ1000億円を目指すという。なお、パラメーターサイズが6億の超軽量版の開発も順調に進捗していて、近日中の提供開始を予定している。
tsuzumiのサービス提供開始に合わせて開かれた会見では、NTT 執行役員 研究開発マーケティング本部 研究企画部門長の木下真吾氏が、電力消費量をグラフから読み取らせるデモや、手書きの資料に記載されている情報を、PCで管理できるようにデータ記述言語に変換するというデモを披露した。
APIを一部無償提供するパートナープログラムも用意
NTTは、2024年5月から「tsuzumi パートナープログラム」を開始する。パートナー企業に対し、tsuzumiのAPI(Application Programming Interface)を一部無償提供することで、顧客の事業/サービスへの組み込みや特化モデル開発、インテグレーションを促進する狙いだ。既に、東京海上日動火災保険やヤマト運輸、千葉大学、福井県など、複数の企業/団体が参画を決定している。
また、同社は、今後の戦略として、日本語/英語にとどまらず、業界/業種特化型LLMの多言語対応を実現し、グローバルで展開していく方針も示した。
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