エッジAIが至るところに 「embedded world 2024」がドイツで開幕:embedded world 2024
組み込み技術の展示会「embedded world 2024」(ドイツ・ニュルンベルク)が2023年4月9日に開幕した。企業/団体が計7ホールを埋め、組み込みシステム開発の分野における最新トレンドを紹介している。
組み込み技術の展示会「embedded world 2024」(ドイツ・ニュルンベルク)が2024年4月9日(現地時間)に開幕した。会期は同月11日までの3日間で、世界各国/地域から集まった出展者が、組み込みシステム開発の分野における最新トレンドを紹介している。
コロナ禍後2度目のリアル開催となった前回は44カ国から950以上の企業/団体が出展し計6ホールを埋めていた。2024年は現時点では出展者数は発表されていないが、ホールは前回から1つ増え計7ホールで開催。初日から多くの来場者が訪れ、会場は熱気に包まれていた。ことしは、IntelおよびAlteraがエッジAI向けに最適化された「Core」プロセッサおよびFPGAなどを発表したのをはじめ、大手からスタートアップまで、低消費電力/小型化/高性能化を進めたエッジAI向け製品/ソリューションを発表、展示する企業が例年より目立っている。
初日の2024年4月9日には、第20回目となる「embedded award」の受賞者が発表された。アワードのカテゴリーは、ハードウェア、ツール、ソフトウェア、エンベデッドビジョン、セーフティ&セキュリティ、スタートアップ、AI(人工知能)、SoC(System on Chip)/IP(Intellectual Property)/IC設計の8つで、ことしの応募総数は109件と過去最高を更新し、初めて3桁を記録したという。
ハードウェア分野では、Ambiqの最新SoC(System on Chip)「Apollo510」が受賞した。Apollo510は、Armの「Cortex-M55」を採用し、最大250MHzの処理速度を達成すると同時に、前世代から電力効率を30倍向上。専用のNPU(ニューラルプロセッシングユニット)を使用せずほとんどのAI推論をデバイス上で可能にするという。
また、AI分野ではユーザーマニュアルやアーキテクチャマニュアル、データシート、コードサンプル、回路図など幅広いリソースを取り込み、エンジニアの質問にチャット形式で回答可能にするVoltaiのソフトウェアが、スタートアップ分野でもAIによるデータシートの解析およびドライバコードの自動生成を可能にするEmbeddのソリューションがそれぞれ受賞するなど、AIによるエンジニアのサポート技術の進化も見られた。
この他、今回から新たに、各部門にノミネートされた全候補の中からコミュニティーの投票によって決める「community choice award」も実施。これにはSTMicroelectronicsの位置認識機能を搭載したセルラーIoT(モノのインターネット)モジュール「ST87M01」が選ばれた。
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