リチウムイオン電池の発火を防げるか 開発コンテストで賞金1000万円をつかみ取れ!:「NEDO Challenge」第2弾
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2024年4月10日、懸賞金型の研究開発コンテストの第2弾の公募を開始した。テーマとなるのはリチウムイオン電池(LiB)。近年課題になっている、ごみ回収におけるLiBの発火や爆発などを防ぐ技術の開発を促進する。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2024年4月10日、懸賞金型の研究開発コンテスト“NEDO Challenge”「NEDO懸賞金活用型プログラム」の第2弾となる「NEDO Challenge, Li-ion Battery 2025発火を防ぎ、都市鉱山を目指せ!」の公募を開始した。企画運営は三菱総合研究所に委託して実施する。
NEDO Challengeは、将来の社会課題解決や新産業創出につながるシーズをいち早く発見することで、共同開発などの機会創出、シーズ実用化、事業化の促進を目的として、NEDOが2024年3月に始めたコンテスト形式による懸賞金型の研究開発方式だ。第1弾では、「NEDO Challenge, Satellite Data for Green Earth」と題し、衛星データを活用したソリューション開発をテーマに公募している(公募期間:2024年3月18日〜4月30日)
第2弾となる今回は、「LiB(リチウムイオン電池)検出装置(ポータブル型・設置型)の開発」と「LiBの発火危険性の回避・無効化装置の開発」の2テーマを設定し、それぞれのテーマで審査/表彰を行う。懸賞金は1位が1000万円で、2位が500万円、3位が300万円だ。
小型家電に使用されている二次電池は、資源有効利用促進法や小型家電リサイクル法に基づいてリサイクルシステムの整備が進められている。一方で、LiBを搭載する小型電子機器については、LiBが使用されているか分かりにくい製品や、LiBを取り外せない製品も多く存在する。市町村では、不燃ごみにLiBが混入することで、収集運搬中の車両内やごみ処理施設、リサイクル工場などで発煙/発火し、大規模火災につながる事例が報告されていて、円滑な処理の阻害要因になっている。
1つ目のテーマである「LiB検出装置(ポータブル型・設置型)の開発」では、誤ったごみ区分に混入したLiBやLiBが使用された小型製品を、処理工程に入る前に検知する装置の開発を目指す。検知により、LiBの発煙/発火を防ぎ、資源物として選別することが可能になる。
「LiBの発火危険性の回避・無効化装置の開発」では、LiBの回収/運搬/処理工程での発火危険性を回避/無効化する装置の開発を目指す。発火能力を低下させた状態のLiBのみを選択的に受け入れる、あるいは、発火能力の有無にかかわらず回収したLiBに放電や電解液除去の処理を施して発火能力を無効化することで、安全なリサイクル資源とする。
公募期間は2024年4月10日〜6月10日までの2カ月間。1次審査(書面審査)は2024年6月に行い、各テーマで6チームほどに絞り込む。1次審査通過チームは、2024年7月〜12月で研究開発を行い、同年12月に2次審査(成果確認審査)に臨む。優勝者決定は2025年1月下旬、懸賞金交付は2025年3月を予定している。
NEDOは、アウトカム目標として「優勝/入賞者とユーザーとの連携機会を創出し、2年以内の共同研究開始を目指す」と語った。
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