JDI、次世代有機ELディスプレイ「eLEAP」を24年12月に量産開始へ:茂原工場で、歩留まりは既に60%超
ジャパンディスプレイ(JDI)は、2024年12月にも茂原工場(千葉県茂原市)で有機ELディスプレイ(OLED)「eLEAP」の量産を始める。また、従来のOLEDに比べ約3倍のピーク輝度を実現したノートPC向け「14型eLEAP」も新たに開発した。
14型eLEAPも新たに開発、従来OLEDに比べピーク輝度は約3倍
ジャパンディスプレイ(JDI)は2024年4月、独自の方法で画素を形成する有機ELディスプレイ(OLED)「eLEAP」の事業化について、その概要を発表した。2024年12月にも茂原工場(千葉県茂原市)でeLEAPの量産を始める。また、従来のOLEDに比べ約3倍のピーク輝度を実現したノートPC向け「14型eLEAP」も新たに開発した。
eLEAPは、ファインメタルマスク(FMM)を全く使わず、有機材料を基板上に蒸着させ、フォトリソ方式でOLED画素を生成する。eLEAPの発光領域は60%(精細度300ppi相当)まで高められるという。これはFMM方式のOLEDに比べ2倍以上だ。JDIは、これによってピーク輝度や寿命を飛躍的に向上できるとみている。
ウェアラブルやスマホ、PC、車載など向けに
JDIは、茂原工場に第6世代量産ラインの設備投資を行い、2023年10月から試作を行ってきた。量産ラインの立ち上げは期待値より速く進んでいて、既に歩留まりは60%を超えているという。このため、2024年12月からウェアラブルデバイスやスマートフォン、ノートPC、車載製品などに向けたeLEAPの量産を始める。
また、14型eLEAPについても、ノートPC向けにピーク輝度が1600nitsという製品を新たに開発した。この明るさは屋外でも快適に使用できるレベルだという。一般的なOLEDで同等輝度を実現するには、タンデム構造にする必要がある。その分、製造プロセスも複雑となり生産コストは高くなる。14型eLEAPはシングル構造で、高輝度を達成した。eLEAPをタンデム構造にすれば、3000nits以上の輝度を実現できる。
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