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“透明な”液晶メタサーフェス反射板を開発、JDI5G/Beyond 5Gの本格展開に向け

ジャパンディスプレイは、5Gの本格展開に向け、5Gミリ波(28GHz帯)対応の透明な液晶メタサーフェス反射板を開発した。これにより、窓ガラスや広告媒体上など、反射板設置の自由度が大幅に向上する。

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 ジャパンディスプレイ(以下、JDI)は、次世代通信技術に関する展示会「COMNEXT 2023」(2023年6月28〜30日/東京ビッグサイト)に出展し、5G(第5世代移動通信)ミリ波(28GHz帯)に対応した透明な液晶メタサーフェス反射板を展示した。透明な液晶メタサーフェス反射板の開発は、「世界初」(担当者)だという。

 同技術は、JDIが液晶ディスプレイで培った液晶技術とTFT(薄膜トランジスタ)を活用していて、ミリ波を反射する一方で、可視光を通過する特性を持つ。透明なため、窓ガラスや広告媒体上など、設置の自由度が大幅に向上する。また、電気を流すことで、液晶の角度を変化させ、電波の反射角を電気的に調整(±60度)できる。なお、電波の反射率は約50%だ。

「5Gミリ波対応の液晶メタサーフェス反射板」の展示。左が同社従来品(非透明)、右が発表の透明型
「5Gミリ波対応の液晶メタサーフェス反射板」の展示。左が同社従来品(非透明)、右が発表の透明型[クリックで拡大]

 5Gミリ波は、4G以前の通信と比較して波長が短く電波の直進性が強いため、電波がビルや樹木などに当たったときの回り込みが減少し、電波の届きにくい場所(カバレッジホール)が発生しやすいという特徴がある。そのため、5Gミリ波の活用には、4G以前よりも多くの基地局が必要になる。しかし、基地局の増設は、時間およびコスト面で問題があった。

 メタサーフェス反射板は、任意の周波数の電波を反射させる技術だ。基地局を増設せず、基地局から直接電波が届きにくいエリアでも通信が可能になる技術として、注目されている。

方向可変型液晶メタサーフェス反射板の特長と利用イメージ
方向可変型液晶メタサーフェス反射板の特長と利用イメージ[クリックで拡大] 出所:JDI

 JDIは会場で、透明な5Gミリ波対応液晶メタサーフェス反射板の開発品の動作デモを展示した。反射板は、用途に合わせてサイズ調整が可能だ。また、反射板内部の電極を調整することで、5Gミリ波以外の周波数にも対応可能だという。担当者は「現状、同反射板は、電源供給が可能な場所にしか設置できない。今後は、太陽光発電やバッテリー駆動への対応も検討し、研究している」とコメントした。

透明な5Gミリ波対応液晶メタサーフェス反射板の展示同技術の動作デモ 透明な5Gミリ波対応液晶メタサーフェス反射板の展示(左)、同技術の動作デモ(右)[クリックで拡大]

 同反射板の開発について、JDIのCTO(最高技術責任者)兼R&D本部長である仲島義晴氏は「電波も広義では電磁波の一つで、電磁波は、JDIが培ってきた液晶技術を生かせる分野だ。今回展示した透明なメタサーフェス反射板も、JDIの液晶技術を基本としているため、需要があれば量産できる体制が整っている。現在、国も5Gの普及に力を入れているが、まだ利用者側が5G活用のイメージができておらず、市場も活性化していない。JDIは、同反射板の提供を通じて、5Gの利用可能範囲を広げ、5Gの本格展開に貢献する」と語った。

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