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超小型CMOSにおいセンサーで「鼻」を再現 試作モジュールを展示におい、大丈夫?

明光電子は、「第33回 Japan IT Week【春】」(2024年4月24〜26日、東京ビッグサイト)内の「組込み/エッジ コンピューティング展」において、アロマビットが開発したにおいセンサーを搭載した試作モジュールを展示した。

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 半導体・電子部品の総合商社である明光電子は、「第33回 Japan IT Week【春】」(2024年4月24〜26日、東京ビッグサイト)内の「組込み/エッジ コンピューティング展」に出展し、豊橋技術科学大学発ベンチャーのアロマビットが開発したにおいセンサー「5C-SSM」や「5Q-SSM」を搭載した試作モジュールを展示した。企業はこれらを自社製品に組み込むことで、においセンサー機能を付与することができる。

 5C-SSMは、CMOS型のにおいセンサーだ。シリコンCMOSセンサーの表面に電荷を蓄える機能を応用したもので、におい吸着膜ににおい分子が吸脱着することで起こる電荷量の増減(伝導率/誘電率の変化)を計測、数値データに変換する。5Q-SSMは、QCM(水晶振動子)型のにおいセンサーだ。におい分子が膜の表面に吸脱着することで起こる質量変化を水晶振動子の共振周波数の変化として検知する。明光電子の担当者によると、「におい吸着膜は、人間の鼻にあるにおいを感じる細胞(嗅細胞:きゅうさいぼう)の役割を模したものだ」という。

「5Q-SSM」「5C-SSM」の展示「5C-SSM」を搭載した試作モジュール 左=「5Q-SSM」(左)、「5C-SSM」(右)の展示/右=「5C-SSM」を搭載した試作モジュール[クリックで拡大]

 においセンシングの分野は、におい分子が時間の経過と共に拡散してしまうことや、におい分子を連続的に計測するためには膜に付着したにおい分子を定期的に取り除く必要性があることなど、実用化には多くの課題があった。

 5C-SSMは、5種類の異なるにおい吸着膜を用いていて、1膜当たり16個のセンサー素子を配置している。これにより、複数のにおい分子の同時計測を可能にしつつ、計測値の高精度化やセンサー不良リスクを低減している。また、明光電子が開発した自動計測デモシステム(展示品)には、におい吸着膜に吸着したにおい分子を定期的に自動でリフレッシュする機能が備わっているため、においデータを繰り返し取得できる。

 明光電子の担当者は、5Q-SSM/5C-SSMの活用場面について「飲料/食料品、日用品などの品質管理や商品開発、製品比較など法人向け用途での使用を想定している。将来的には、スマートフォンなどの小型携帯機器に搭載し、ニンニク臭などの特定のにおいに対するエチケット用途など、個人向けとして活用も検討している」とコメントした。

 アロマビットは、豊橋技術科学大学の澤田和明教授らが開発したCMOS型イオンイメージングセンサーのセンサー基盤技術に、アロマビットが開発したにおい受容体膜を応用することで、超小型、高精度なシリコンCMOS型次世代においセンサーの開発を行っている。明光電子は、アロマビットが開発したにおいセンサーの拡販に向け、試作モジュールの作成やアプリケーションの提案を行っている。

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