エッジ機器で本格的なAIを実現、Infineonが「PSOC Edge」第1弾の詳細を公開:embedded world 2024(2/2 ページ)
Infineon Technologiesはドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2024」において、IoT機器などでのエンドデバイスで本格的なAI搭載が実現できる最新マイコンファミリー「PSOC Edg E8シリーズ」の詳細を公開した。
買収したTinyML新興の技術がAI開発を容易に
AI搭載アプリケーション開発のサポートとしては、同社が2023年5月に買収したImagimobが手掛けるMLプラットフォームおよびInfineonの「Modus Toolbox」などがあり、容易かつ効率的なアプリケーション構築が可能になるとしている。Rosteck氏は「PSOC Edgeは包括的なツール、ソフトウェア、イネーブルメントを統合し、アプリケーション開発者は、より少ないシステム消費電力とコストで、より豊富な機能を備えた迅速な開発が可能だ」としている。
また、Rosteck氏は「デバイスメーカーの観点からは内部には保護されるべき多くのIP(Intellectual Property)がある。そしてユーザーにとっては安全な製品であることは最も重要だ」とも強調。IoT機器の普及によって、機器をターゲットにした攻撃も増加/高度化していて、その対策の必要性は増加しているが、PSOC Edgeでは、Armのセキュリティ基準「Platform Security Architecture(PSA)」の最高レベルである「PSA Level 4」を満たしたという。Rosteck氏は、「PSOC Edgeは、PSA Level 4認証を満たした初のデバイスだ。さらにその他にもセキュアブートなど重要な機能を多数搭載し、高レベルのセキュリティを実現している」と語っていた。
ML機能もグラフィックも、全て1つのマイコンで
今回、同社ブースでは、E84を用いたジェスチャー操作のゲームのデモを行っていた。
デモは、プレイヤーがセンサーの前に立ち、腕の動きで画面に表示されたロケットを操作するというもの。Infineonの60GHzレーダーによってプレイヤーの腕の動きを検知していて、ジェスチャー検出など全てのML機能の処理は、Ethos-U55/Cortex-M55搭載のE84で行っている。同時にゲームのグラフィックについてもGPUおよびグラフィックインタフェース搭載のE84で実現していて説明担当者は「MLとグラフィック、そして低消費電力、高性能全てを統合したE84だからこそ実現可能なソリューションだ」と語っていた。
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