ルネサス、Transphorm買収完了でGaN市場に本格参入:新製品15種も同時発表
ルネサス エレクトロニクスは2024年6月20日、Transphorm(トランスフォーム)の買収を完了したと発表した。同日、新しいGaN製品とルネサス エレクトロニクスの既存製品を組み合わせた新製品を15種類発表した。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2024年6月20日、Transphorm(トランスフォーム)の買収を完了したと発表した。買収額は、約3億3900万米ドル。今回の買収により、ルネサスは、GaN(窒化ガリウム)市場に本格参入する。
併せてルネサスは、既存製品と新しいGaN製品を組み合わせた新しい「ウィニング・コンビネーション」を15種類発表した。これらの製品には、Transphormの車載グレードGaN技術を適用したEV(電気自動車)用オンボードバッテリーチャージャ(OBC)や3-in-1ユニットなども含まれる。
Transphormは、米カリフォルニア州ゴレタに本社を置く2007年創業のGaN半導体メーカーだ。2014年に富士通セミコンダクター(当時)のGaNパワーデバイス事業を統合。ゴレタと福島県会津若松市に製造拠点を持つ。
ルネサスはこれまで、パワー半導体事業の強化に向け、甲府工場(山梨県甲府市)でのパワー半導体300mmラインの立ち上げや、高崎工場(群馬県高崎市)でのSiC(炭化ケイ素)生産ラインの構築、Wolfspeedとの今後10年間にわたるSiCウエハーの安定供給に関する契約締結などを行ってきた。ルネサスは今回の買収に関して「GaN技術がルネサスのポートフォリオに加わり、幅広いアプリケーションに向けて、より包括的なパワーソリューションを提供する態勢が整った」とコメントした。
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